このタイトル、なんのことだか分かりますか?自分も先週はじめてこの言い方に出会いました。
これはアメリカのニューヨーク・イギリスのロンドン・そして中国の香港を合成した言葉で、意味は世界金融の中核を担う三都市という意味です。
バブル絶頂期、日本円は国際通貨としてはばたく可能性がありました。実際アジアにおける金融センターの役割は、東京が担っていました。しかし日本円はローカル通貨として徐々にその価値を落としつつあります。一方中国の人民元はすでに東南アジア諸国では米ドルよりも通用しやすいというレポートもあります。
日本が不景気であえぐ中、韓国経済は絶好調です。GDP伸び率は日本の10倍の一方、インフレ率は2%台と安定しています。
日本を代表するといわれる企業の凋落ぶりが著しいです。トヨタはプリウスしか売れていないと聞きますが、それは国費を投じて補助金と減税による優遇策を講じているから。トヨタの工場で生産にあたる工員があのプリウスを買えるか、自社の従業員が買えないような値段のものを国費で若干安くして売れているといったってたかが知れているでしょう。日本のほとんどの製造業がこのような事態に陥っています。フォルクスワーゲンと提携してインドをはじめとした新興国(もっともインドはイギリスが来るまで世界貿易の2割を占める大国でした)で売り上げを稼ぐスズキがそのうち日本一の企業になるのではないかという予感がします。トヨタは今のままではアメリカのゼネラルモータースと同じ道を歩むでしょう。プリウスを安くしないのは、せっかくの技術なのだから最初は高く売ってもとをとろうと思っているからだと思います。それは今までなら当然の投資回収の仕方でした。しかし中国もインドもその他のいわゆる新興国も、経済成長のスピードは日本のそれの7倍から10倍以上の速度で進展しています。車を買える人たちがものすごい勢いで増えている、その市場に食い込んでいるところが伸びている。韓国経済が好調なのはその市場にがっちり食い込んでいるからです。
インドのタタモーターが開発した2000ドルカー「ナノ」は、当初その値段でぎりぎり買える層が基本装備で買っていくと思われていました。しかしふたを開ければ、ほとんどの買い手がオプション装備をつけて自分流にカスタマイズしています。先日ソニーの広告で「余分はいらない、十分が欲しい」というキャッチフレーズがありました。しかし、ソニー製品は余計な装備がとても多くてカスタマイズしにくいです。ウオークマンは明白にI podを意識していますが、I podにかなわない。それはソフトウエア(アプリケーション)を囲い込んで、利用者が自由にカスタマイズできないようになっているからでしょう。
TIMEを読んでいると、アジア版であるにもかかわらず日本の記事の少ないことに衝撃を受けます。観光ガイドの記事として沖縄が紹介されたり、コラムで自殺を思いとどまらせる相談役がいるという話題で福井県の東尋坊が取り上げられたりしていました。
世界中がグローバルにつながって様々なうねり(プラスもマイナスもありますが)を起こしているというのに、日本人の関心は少ない国内の利権の奪い合いに終始していて、将来的にもっと成長するというモチベーションがほとんどありません。世界の中で主導的地位を築こうという大局観に基づく動きが全く感じられません。
米ドルが世界の基軸通貨である時代は終わりを告げつつあります。イギリスポンドからアメリカドルに基軸通貨の地位が移るまで30年くらいかかりました。米ドルもそう簡単には基軸通貨としての地位を譲らないでしょうが、徐々にその時代が終わりつつあることは間違いなく、その肩代わりをするのはどうもユーロではなく、最近よく議論される合成通貨でもなく、どうやら中国人民元になりそうです。「NYLONKON」という造語(ネーミング)はその事実を如実に物語ると感じます。
日経新聞で数ヶ月前、日本有数の大企業の会長が「自宅で何がどこにあるか分からず、妻に怒られ、人に怒られるというのはこんなにストレスを感じるものなのだと改めて思い知った」と書いていました。そんなコラムがどうどうと掲載されること自体に幻滅します。日本航空が抱える問題は多かれ少なかれ日本の大企業や役所が抱える問題です。甘い再建策で再破綻が噂される日本航空の姿は、この国そのものの姿を暗示していると思えてなりません。
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