経済・政治・国際

2010/02/07

中国は民主化が先

数日前基軸通貨が移る可能性について書きました。確かに中国はGDPで今年度中に日本を抜きアジアで最大規模になるだろうとダボス会議で竹中平蔵氏が断言した(TIME誌)そうです。さらに日本のように「もう発展はいいや」という態度ではありません。すべての国民に富が行き渡るようにさらなる発展を求め続けるでしょう。経済の規模からいって、NYLONKONの地位はもう揺るがないでしょう。

しかし、言論の自由が保障されない国の通貨が基軸通貨になるとは考えにくい。通貨とは人々が信頼してものやサービスの対価として受け取ることが前提です。当たり前ですね。言論の自由が保障されず、いつなんどき政府の態度が変わるか分からない通貨をみんなが受け取るかといえばNOですね。まず民主化と言論などの統制からの自由化が絶対に必要です。インドはアメリカと並ぶ世界最大の民主主義国家です。昨年の総選挙でも日本の10倍の人口がいるにもかかわらず投票翌日には結果が判明し、選挙結果をすべての党が受け入れています。選挙プロセスに不正があったと主張する党はありませんでした。中国がそういうレベルに達するのにいったい何年かかるのでしょう。それまでは結果として人民元が基軸通貨になることは無いでしょう。

| | コメント (0)

2010/02/01

NYLONKON

このタイトル、なんのことだか分かりますか?自分も先週はじめてこの言い方に出会いました。

これはアメリカのニューヨーク・イギリスのロンドン・そして中国の香港を合成した言葉で、意味は世界金融の中核を担う三都市という意味です。

バブル絶頂期、日本円は国際通貨としてはばたく可能性がありました。実際アジアにおける金融センターの役割は、東京が担っていました。しかし日本円はローカル通貨として徐々にその価値を落としつつあります。一方中国の人民元はすでに東南アジア諸国では米ドルよりも通用しやすいというレポートもあります。

日本が不景気であえぐ中、韓国経済は絶好調です。GDP伸び率は日本の10倍の一方、インフレ率は2%台と安定しています。

日本を代表するといわれる企業の凋落ぶりが著しいです。トヨタはプリウスしか売れていないと聞きますが、それは国費を投じて補助金と減税による優遇策を講じているから。トヨタの工場で生産にあたる工員があのプリウスを買えるか、自社の従業員が買えないような値段のものを国費で若干安くして売れているといったってたかが知れているでしょう。日本のほとんどの製造業がこのような事態に陥っています。フォルクスワーゲンと提携してインドをはじめとした新興国(もっともインドはイギリスが来るまで世界貿易の2割を占める大国でした)で売り上げを稼ぐスズキがそのうち日本一の企業になるのではないかという予感がします。トヨタは今のままではアメリカのゼネラルモータースと同じ道を歩むでしょう。プリウスを安くしないのは、せっかくの技術なのだから最初は高く売ってもとをとろうと思っているからだと思います。それは今までなら当然の投資回収の仕方でした。しかし中国もインドもその他のいわゆる新興国も、経済成長のスピードは日本のそれの7倍から10倍以上の速度で進展しています。車を買える人たちがものすごい勢いで増えている、その市場に食い込んでいるところが伸びている。韓国経済が好調なのはその市場にがっちり食い込んでいるからです。

インドのタタモーターが開発した2000ドルカー「ナノ」は、当初その値段でぎりぎり買える層が基本装備で買っていくと思われていました。しかしふたを開ければ、ほとんどの買い手がオプション装備をつけて自分流にカスタマイズしています。先日ソニーの広告で「余分はいらない、十分が欲しい」というキャッチフレーズがありました。しかし、ソニー製品は余計な装備がとても多くてカスタマイズしにくいです。ウオークマンは明白にI podを意識していますが、I podにかなわない。それはソフトウエア(アプリケーション)を囲い込んで、利用者が自由にカスタマイズできないようになっているからでしょう。

TIMEを読んでいると、アジア版であるにもかかわらず日本の記事の少ないことに衝撃を受けます。観光ガイドの記事として沖縄が紹介されたり、コラムで自殺を思いとどまらせる相談役がいるという話題で福井県の東尋坊が取り上げられたりしていました。

世界中がグローバルにつながって様々なうねり(プラスもマイナスもありますが)を起こしているというのに、日本人の関心は少ない国内の利権の奪い合いに終始していて、将来的にもっと成長するというモチベーションがほとんどありません。世界の中で主導的地位を築こうという大局観に基づく動きが全く感じられません。

米ドルが世界の基軸通貨である時代は終わりを告げつつあります。イギリスポンドからアメリカドルに基軸通貨の地位が移るまで30年くらいかかりました。米ドルもそう簡単には基軸通貨としての地位を譲らないでしょうが、徐々にその時代が終わりつつあることは間違いなく、その肩代わりをするのはどうもユーロではなく、最近よく議論される合成通貨でもなく、どうやら中国人民元になりそうです。「NYLONKON」という造語(ネーミング)はその事実を如実に物語ると感じます。

日経新聞で数ヶ月前、日本有数の大企業の会長が「自宅で何がどこにあるか分からず、妻に怒られ、人に怒られるというのはこんなにストレスを感じるものなのだと改めて思い知った」と書いていました。そんなコラムがどうどうと掲載されること自体に幻滅します。日本航空が抱える問題は多かれ少なかれ日本の大企業や役所が抱える問題です。甘い再建策で再破綻が噂される日本航空の姿は、この国そのものの姿を暗示していると思えてなりません。

| | コメント (0)

2009/11/26

ブラックフライデー

明日、アメリカはブラックフライデイ(Black Friday)という日なのだそうです。なんのことだと思いますか?クリスマス商戦の初日のことなのです。今週号のTIME誌にその話題が載っていたのと、今週の本郷教会での英会話授業の中で話題に出たので一気に覚えてしまいました。

日本では連休にかけて川口そごうが5日間連続ミレニアムカード会員優待セールをしたのをはじめとして、今年の12月は厳しい歳末商戦になると見込んでセールを前倒しでしています。しかしアメリカでは事情が違うのだそうです。今日11月26日はサンクスギビングデイという祝日です。この日は手持ちの辞書によると「1620年Mayflower号で英国からやってきた初期の移住者が最初の収穫を神に感謝することからはじまった」そうで、この日まではクリスマスセールではないらしいです。人々も消費を控えるようです。だからこそ、明日からはTIME誌いわく、ばかげたようなほどの買い物シーズンになるのだそうです。

アメリカのクリスマス商戦の売れ行きは世界中の経済に影響を与えます。なにしろこの時期のアメリカ人の買い物意欲はすごいのです。世界中からあらゆるものを買いまくるといってもいいくらい。だから日本でもニュースになる訳ですね。

しかしリーマンショック以降、様々な雑誌や本が警告してきたように、アメリカは人(クレジット)も国(国債)も借金して買い物をするのが難しくなりつつあります。アメリカドルが今日一時的にですが1ドル86円になりましたね。アメリカドルと米国債に対して人も国も疑心暗鬼になりつつあります。一ヶ月後、為替や株価はいったいどうなっているでしょう。新聞をとるのをやめても気になって仕方のない話題です。

| | コメント (0)

2008/04/03

日本の住宅バブルにも影

アメリカのサブプライムに端を発した住宅価格の下落。現在ヨーロッパのスペインやイギリスでも住宅価格が下がり始めているのですが、とうとう日本でも地価が下がり始めたようです。ついこの間「賃貸の勧め」をこのブログにアップしましたが、時既に遅くついこの間までのプチバブルがはじけつつあるようです。

顕著なのはマンションですね。1~2年位前は「予告広告」だけで売れてしまったくらいマンション人気は高かったのですが、今は「内覧会開催」などの広告が多いです。つまり1~2年前はマンションが完工するまでに売れてしまったのが、今は出来上がってからも販売活動をしている状態なんです。

この現象をほぼ3年前に、自分は全く逆に書いているのに気づきました。プチバブルという記事です。今読むと本当に不動産バブルだったのがよく分かります。先日発表された公示地価を見ると三大都市圏と札幌、仙台、福岡といった拠点都市のみ地価が上昇して、他は軒並み下落しています。それも場所によっては2桁の率で値下がりしています。前回の狂乱バブルとは明らかに違う動きです。しかし、上昇しているはずの首都圏、特に豊洲、武蔵小杉などと並んで高層マンションや大規模マンションがこの3年の間ににょきにょき建ち、風景が一変した地域である川口で確実に不動産(特にマンション)の売れ行きが頭打ちになって売れ残りが出ているというのは大きな変化だと思います。

機を一にして先週の週刊ダイヤモンドが「地価暗転」という特集を組みました。川口&川口元郷のマンションはまだ上昇するという予測ですが、予断を許さないでしょう。南浦和はやや弱含み、新井宿、戸田公園は横ばいだそうですが・・・。

金利は上がりませんね。アメリカがこれだけ金利を下げてくるとは・・・3年前の記事を読むと投資環境が変わったなあと思わずにいられません。日本はやっと公定歩合0.5%でしょう。これを下げるのもインフレ懸念があって厳しい。しかし上げることはさらに難しいですね。今の世界景気が調整局面にあるなかですから、上げられないです。お金は年を追うごとにグローバルに駆け巡ります。世界的に協調した動きをしていかないとならない状況です。そして仮に世界景気が上向いても国債をはじめとした借金の額が半端じゃないですからとても金利は上げられない。今住宅ローンを組んでマンションを買うのは得策ではないといえるでしょう。「サブプライム」問題はは他人事ではないということです。

| | コメント (0)

2008/02/28

銀行が博物館に入る日

現在日本にある銀行の多くは10年前、不良債権を大量に抱え込み、その処理を先延ばしして経済に打撃を与え、国の税金で資本増強し、それでも足りずにだまし討ちのような貸し渋りをして多くの人を不幸に追い込みました。

彼らは「民間企業」であるとのたまいますが実はきわめて官営に近い企業です。地銀トップの横浜銀行が財務官僚の有力な天下り先であることをみても分かるし、郵政民営化で誕生したゆうちょ銀行のほうが民間企業的であることを求められ、その方向に動いていることでやっと過剰な地方銀行の再編が始まったことでも分かります。もっともゆうちょ銀行も今立ち上げたばかりでいろいろ混乱があるようです。預金から投資信託へお金を移動してもらおうとした矢先に、もう一度預金を増やそうとしています。とりあえずその問題は脇におきます。

国費で銀行を救済したのは理由があります。経済活動に不可欠なお金のやりとりつまり「決済機能」を人質にとっていたからです。決済機能が滞ると国中の経済活動が麻痺し、ひいては世界中に影響を及ぼす恐れがありました。一国の責任として世界的な混乱の引き金を引く事は許されません。だから国費を投じて銀行を救済したのです。

しかし10年後、銀行は決済機能という人質を放棄せざるを得ないかもしれません。携帯電話を使い銀行を介在させずに決済する仕組みが登場したのです。驚くべきことにこの革命的変化の震源地はバングラデシュなのです。グラミンフォンという革新的サービスが常識を変えつつあるのです。銀行口座を持たない農村部の人達が世界経済に参加しているのだとか。送金も決済も銀行に頼らない人達の登場なんて考えられますか?

銀行が博物館に行くのと貧困が博物館に行くのはどうやら一緒かもしれません。この人類史に残るかもしれない変化をブログの一記事で説明するのは実に困難です。ぜひ「グラミンフォンという奇跡」(ニコラス・P・サリバン著 英治出版 2007年)を読んでみてください。知っているのと知らないのとではこれからの毎日の行動に明白な差が出ます。自分はこれを既知の事柄として、いかにこの新しい時代を生き抜くか全力で考えたいと思います。「べてるの家」の理念である「利益のないところを大切に」すなわち「社会的ビジネス」「損失を出さないビジネス」というものも今や世界的流れになろうとしているのですよ。 

| | コメント (0)

2007/07/05

これだけは嫌

参議院選挙が近づいてきました。3年前、実はおなじ日程で選挙が行われているんですね。つまり3年前も7月29日は日曜日だったのです。

年金やら憲法やらいろいろと考えるべきことはあります。一人ひとりが自分の価値観をもとに主体的に投票するしかないでしょう。ただ、自分は自民党が大負けして派閥や族議員がのさばるようになるのだけは嫌だなと思っています。官邸主導で政策重視で動いて欲しい。その政策に対して良い悪いを選挙で有権者が意思表示できるような形であって欲しいと思います。諫早湾の問題を深く知るにつけ、田中角栄が作り上げた政治体制はひどかったとホント思います。あれに戻るのだけは嫌です。

| | コメント (0)

2007/06/27

二度と給料は上がらない

自分は住宅を持っていないし持つ気も無いので、今週の「週刊ダイヤモンド」は自分には必要ない特集でしたが、日経ビジネスが「崖っぷち親子会計」という特集の中で、自分にとって目からうろこのことを書いていました。タイトルのとおり二度と給料は上がらないということですが、もっというと「近代国家」という制度が崩壊し16世紀以前の中世に戻りつつあるというのです。どういうことでしょう?

グローバル経済の進展によって多くの多国籍企業が生まれました。以前なら多国籍企業というとアメリカの企業というイメージがありましたが、今や日本の多くの企業が多国籍化しています。そして売り上げの半分以上を日本以外で稼いでいる企業があらゆる分野に広がりつつあるのです。日本の好景気はこうした海外からの収益が企業全体の収益の多くを占めていることから来ています。ですから会社が儲かっていても国内の従業員の給料を上げる必要はないという論理なのです。

以前なら国家が企業から法人税を取り、また所得が多いほど所得税も多く払うという累進課税によって富の再配分をしてきたのですが、今法人税率を上げようなんていう国はほとんど無いでしょう。むしろ競って下げながら多国籍企業を誘致して、雇用その他を確保しようと動いています。そうすると近代国家が担っていた所得再配分機能は機能しなくなり、国家が無かった16世紀以前の「中世」に戻るというのです。ちょっと難しい話かもしれませんがなかなか面白い指摘だと思います。

ではどうやって生き延びていったらいいのか? そのひとつの例を福井県から見出しています。福井県は2世代や3世代同居の世帯が全国一なのだそうです。そして違う世代の家族が同居することで、家事や仕事を大勢で分担し生活防衛しているのだそうです。

2世代連結会計の破綻例にも触れていて、なかなか耳が痛い特集になっています。興味を持った方は是非、買わなくてもいいので図書館で読んでみてください。

| | コメント (0)

2007/06/22

争点が違う

間近にせまった参議院選挙ですが、争点がすっかりぼけてしまいました。年金問題などと言うのは事務の問題であって、どちらが選挙に勝とうとやらなければならないことはたくさんあります。しかも政治家が「○○をやります」といっていることは結局年金の新しい管理システムを作ると言うことです。システムを作るのは政治家でも役人でもありません。契約を請け負った民間企業です。ですからどちらが勝とうと意味はないのです。

本当に大事なのは憲法改正問題でしょう。憲法を改正して集団的自衛権を行使できる自衛隊にするのか、そうはしないのかと言うことだと思います。今、日本は北朝鮮と言う目の上のこぶを抱えています。アメリカは「アメリカ一国では日本を守りきれない」と言ってオーストラリアなどにも軍の出動を要請するようですが、その場合オーストラリアが攻撃されたら日本はそれを理由に参戦できるようにするのか?ということでしょう。(その他にもいくつもの論議がありますが)選挙を前にしてこの問題がまったくマスコミから姿を消してしまったのには驚きます。

政治がつかさどるのは政策です。国をどうするかと言う問題であって、事務手続きをこうする、ああするということは議論しても仕方のないことです。惑わされないようにしましょう。

| | コメント (0)

2007/04/10

県議選あとかるた

県議選にまつわる記事を書きましたが、一晩あけて訂正や思うことなど。

まず1人区が珍しいと書きましたが、自分の勘違いで1人区の方が多いくらいでした。蕨が2人、川口が6人など、周囲が多いところばかりなので勝手な思いこみをしていました。お恥ずかしい話ですがこちらの記事を持って訂正させていただきます。

市民が変化を求めたとも書きましたが、やはり6万人近い人口がいて勝った新人でさえ1万票も取れないというのは大きな問題だと思いました。投票率が低いのは結局県議会の動きが分からないということだと思います。どういう会派がどういうスタンスで動いているのか分からないまま。県議会議員のうちいったい何人が、例えば4月1日から写真を貼った精神障害者手帳なら東京都内在住者が東京都内だけバス運賃が半額になるようになったことや障害者自立支援法の医療費本人負担分を都が肩代わりしていて実質無料なことなど知っているのか・・・。

埼玉県の議会銀定数は95人。聞けば千葉は96人だそうです。人口700万の埼玉のほうが人口500万の千葉より議員定数が少ないのです。これはもちろん「増やせ」と言う意味ではないですが。

絶対棄権しないという気持ちでいたからこそ耳に入ってきた情報もたくさんありました。いろいろと考えさせられた選挙でした。

| | コメント (0)

2007/04/09

変化を求めた鳩ヶ谷市民

埼玉現議会議員選挙の鳩ヶ谷市の結果は新人のかやの和弘氏が現職をわずか300票あまりの差でおさえて初当選しました。40%を切る低い投票率にもかかわらず、しかも現職を推薦するビラが広範囲に(というのは我が家に2回もきたから)まかれたにもかかわらず現職落選と言うのは正直驚きました。

もっとも少ない材料の中で自分が思ったのは、現職はまったくひどいということでした。ビラには自分がやったやらないに関わらず最近の鳩ヶ谷で変わったことが全部自分の実績にされていたり(国道122号の鳩ヶ谷大橋に歩道をつけたことまで自分の実績にしていました。あれはたかが歩道に7000万以上の金がかかっていることが工事標識でわかりむしろ憤慨していたものです)、選挙公報で自分が持つ限りの肩書きを列挙していたりとひどかったです。組織固めに奔走していたにもかかわらず票がまとまらなかったのか、最後の数日は選挙カーを出して名前だけの連呼。あわせるように新人も選挙カーを出していましたが、接戦だったのですね。

市長選に続き県議選でも現職が落選するという事態に変化を求める市民の風を感じます。

| | コメント (2)