空飛ぶ馬
直木賞を獲得された作家の北村薫さんが自分の母校の先輩であり、かつ自分が所属していた落語研究部の当時の顧問をなさっておられたことは以前にも書いたでしょうか。先生の古文の授業も受けていましたが、落語のような授業だったなあという印象があります。語り口に落語独特の「間」を感じさせるところがありました。もっとも、今だからそんなことを思うのかもしれません。
北村薫さんのデビュー作が「空飛ぶ馬」でした。それを今夜するっと読む機会がありました。短編なのでほんとうに「するっ」と読めてしまいますが、後味はとても良いです。お住まいの埼玉県東部の街の描写もあり、なんだか懐かしい気分にさえなってきました。
「天の配剤ということをあなたは信じますか」・・・16章に出てくるせりふです。運命の好意といった意味で使われています。普段の生活の中ではなかなか信じられないことが多いですね。しかし、「純粋で真剣な思いをどこまでも守ってやろうといういたわり」(同章)がある、と信じてみるのもいい。そう思えたとき「どうです、人間というのも捨てたものではないでしょう」(同章)と思えるのかもしれません。
端から見れば憧れの職業に就いている人ですら、実は報われないむなしさを感じているものなのだ、とある方からのメールを読んで感じました。仕事も人生もです。人の善意を信じてプロジェクトや集いを主宰されていて、いつの間にか多数の方が音信不通になり赤字の額も大きくなるということは往々にしてあるもののようです。それでも「捨てたものではない」と思える人との出会いが次へ進む勇気になるのかもしれません。
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