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2009/12/25

赤字続くザ・プライス

赤字続くザ・プライス
イトーヨーカ堂が小型赤字店舗対策として業態転換を急ぐディスカウント店「ザ・プライス」ですが一号店の西新井店以外は赤字続きとの記事が日経ビジネスにありました。

写真はザ・プライス川口店で駅弁を売っている様子です。ディスカウント店でこんな物が売られていることが不振の原因です。ここへ客が買い物に行くと言うことは一円でも安く買いたいという気持ちがあるからで、駅弁を買ってひとときの贅沢をするためではありません。ついでにこんなものを買ってしまえば節約にはなりません。


ディスカウント店とは何かというセブン&アイの定義が不明確なのです。そして駅弁をコーナー取りして売ると言うことは、売り場担当者ばかりではなく店長も営業関係重役も仕入れを担当する商品部の上役まで何を「ディスカウント店」と定義するか、まったくコンセンサスがないと言うことです。そうでなければ並べるのが難しい種類の商材です。

別の日の日経ビジネスではたまたま川口駅周辺の顧客調査の話題が載っていたのですが、アリオ川口の顧客がザ・プライス川口店も利用している実態が浮き彫りになっていました。つまり業態転換したと思っているのは店側だけで、顧客は同じイトーヨーカ堂と認識している訳です。

至近の川口駅東口前にあるマルエツキュポラ店は商圏特性に合わせ小ロット販売を徹底しています。ミソは多少の相場値段の上下を店で慣らして、野菜なら98円以下で毎日売っている事。大根や白菜などサイズは半分か4分の1。場合によっては6分の1。一人暮らしでも余らない量にする事を徹底しています。コンセプトが明確です。マルエツだと無駄なものを買わなくて済むので、結果的にザ・プライスより安くつきます。やはり至近の西友川口本町店は、ザ・プライス以上のローコスト店。とにかく削れるものは従来の常識に反しても、売り上げが落ちてもコストを削る。自分は今まで削り過ぎだと思っていたのですが、そこまでやるのかと思う程やることで、常識破りの運営が可能になりつつあります。6年連続赤字から脱出する日が来るような印象を最近受けるようになりました。

初めてザ・プライスを西川口で見た時、ダメさ加減がひどかった頃のダイエーそっくりで驚きました。発想がDマートと一緒じゃないか。これではローコストオペレーションなんかできやしない!見せかけだけだと思いました。


先日円が対アメリカドルで84円以下になった時、いち早くイトーヨーカ堂は円高還元セールの実施を表明し、新聞やテレビがこぞって取り上げました。しかしながら、商品の仕入れ価格は最も円高な時の水準で決まる訳ではないし、輸入先もアメリカよりダントツで中国なのだから、良く考えればおかしな話です。イトーヨーカ堂が優れているのは広報です。イメージ作りや広告費をかけずニュースや雑誌に取り上げてもらうのが実にうまい!しかしセブンプレミアムのうたい文句「保存料に頼らずおいしさ長持ち」するわけが無いではありませんか!保存料と定義されていない日持ち添加物を使っているだけのことです。

セブン&アイがイメージ頼みの商売なのは西日本にイトーヨーカ堂がほとんど無い事からも良く分かります。近畿より西ではイメージだけでものを買う人が関東と較べ圧倒的に少ないからです。

あの会社は誰のためにどういう付加価値を提供しようとしているのでしょう。週刊誌はユニクロ型デフレと言うことばを使うけれど、ユニクロは仕組みであの値段と付加価値を生み出しているのです。イトーヨーカ堂に限らず他の大型スーパーは、取引先を締め上げることで無理に値段を作っているので、イトーヨーカ堂型(それがまずければジャスコでもなんでもかまいませんが)デフレとでも言った方が良いと思います。


こんなに目の敵みたいな記事を書いて、こいつよほどイトーヨーカ堂グループが嫌いなんだろうと思われるでしょうね。嫌いなのではなく、実態と広報が出す情報との乖離がはなはだしい、そこがどうしても気になってしまうのです。こんなこと書くのはもう最後にしたいものです。

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