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2009/09/23

私の『1Q64』

ヒッポの最近のCDのストーリーに、主人公の「一郎」が留学先で「日本出身」だというと、「じゃ、柔道できるでしょ?」と繰り返しいわれる部分があります。同様に英語圏のインテリに自分が「日本出身」だというと、「村上春樹しっているでしょ」とよく言われるのではないでしょうか?村上春樹の小説はそのくらい英訳が読まれています。自分も海外の人と接点ができて初めてそのことを知りました。

『1Q64』はこの5月に発売され即売り切れ、大増刷された後も売れ続け未だに本屋に平積みされているミリオンセラーですが、今まであまり関心がありませんでした。ウンベルト・エーコの「フーコーの振り子」が平積みされていた時代に買っては見たけれど、あまりにも難解で自分には歯が立たないと思ってブックオフに売り払ったことがあります。村上小説も自分には難解なイメージがあります。抽象概念や比喩(隠喩)が多すぎるような。でも今日「村上春樹『1Q84』をどう読むか」(河出書房新社 2009年7月)を買って読み出したら面白くて一気に半分くらい読みました。この本は35人の評論家がそれぞれの視点から『1Q84』を論評したものです。35人全員のことを知っていたわけではないのですが、この評論集を読んでそれぞれの立ち位置が分かったので「この人の文章を他にも読んでみたい」と初めて思う人もいました。肝心の『1Q84』自体は分厚いこともあり手をつけられるかどうか。とりあえず35人の評論にすくい取られた「部分」が今のところの「私の『1Q64』」です。部分でしかないので「分かったつもり」にはならないようにしようと思います。もっとも「部分」が「全体」を包含するという考え方もありますが。『1Q64』だけ読んでも村上ワールドがひらけてくるわけではないことだけはよくわかりました。

蛇足:35人の顔ぶれ
安藤礼二
五十嵐太郎
石原千秋
岩宮恵子
上田麻由子
上野俊哉
内田樹
円堂都司昭
大森望
小澤英実
加藤典洋
可能涼介
川村湊
栗原裕一郎
鴻巣友季子
越川芳明
小沼純一
斎藤環
佐々木中
佐々木敦
島田裕巳
清水良典
鈴村和成
竹内真
武田徹
千野帽子
豊崎由美
永江朗
新元良一
沼野充義
速水健朗
平井玄
水越真紀
森達也
四方田犬彦

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コメント

こんばんは。「1Q84」は読み易いので厚さは全く感じませんでした
真の意味は村上さんの頭の中のみ。如何にも取れるのが村上ワールドなので評論の本が出るのでしょうね。面白そうですね。
「1Q84」が出たことで私は「1984年」「アンダーグラウンド」「約束の場所で」を読みたくなりました。
私はなぜ村上春樹がこのような子供に読ませたくない本をあえて書いたのか、書かねばならなかったのか、ご本人に聞いてみたいです

投稿: メリッサ | 2009/09/23 21:15

メリッサさん、こんにちは。

ただストーリーを追って楽しむだけでなく読み手の知識水準に応じて様々な推測・解釈をして楽しめるところが、村上春樹作品のおもしろさみたいですね。いつか読んでみようという気になりました。どうもありがとう!

投稿: なんちゃん | 2009/09/25 23:06

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