打ちのめされるようなすごい本
米原万里さんという人を、今まで自分は知らなかったのですが恥ずべき無知でした。初めて文春文庫(5月に文庫化)の「打ちのめされるよなすごい本」を買いました。解説と本文を少し読んで、「この本こそが打ちのめされるような本だ!」と衝撃を受けました。学生時代にはよく買っていた「ユリイカ」(特集※米原万里、2009年1月号)を手にしたのがきっかけです。その教養、読んでいる本の量、評論の書き方、あらゆることに驚かされました。最近自分が読んだ大宅壮一ノンフィクション賞作家の佐藤優氏や星野博美氏の本もよまれていて、特に星野博美さんの本がなぜこんなに面白いのかばちっと言い当てています。文庫版の解説に寄稿しているのは丸谷才一氏。旧仮名遣いで繰り出される最大級の賛辞にもいちいち納得です。
余談ですが、丸谷氏が女性の書評家としてリストアップしていた人たち・・・この米原万里氏のほかには
井波律子
江國香織
小島ゆかり
小西聖子
高樹のぶ子
田中優子
中村桂子
井波、小島、小西のお三方は自分がまだ存じ上げないのですが、それ以外に列挙されている人たちのすごいことはよく知っています。だからこれらの名前を全員知らない時点で、まだまだ知らないことがいっぱいあるわけだと変に納得してしまう自分でした。
追記:米原万里さん自身も大宅壮一ノンフィクション賞を受賞されているのです。この賞のことは星野博美さんの「転がる香港に苔ははえない」受賞で知ったのですが、自分が興味を持ち出す作家・批評家の多くが受賞されているのにびっくりです。佐藤優氏の「国家の罠」も受賞作品ですが、その佐藤優氏を今の作家への道へ引っ張り出したのが米原万里さんだったのだと知りました(前述のユリイカより)。佐藤優氏に懲戒免職でなく外務省との徹底抗戦へと気持ちを導いたのも米原さんだったのでした。
米原さんは「外国語は2つ以上習得すべし」と様々な場所で書かれているそうです。二言語ではそのひとつの外国語を絶対視してしまう(日本では英語を勉強させられますが、その影響がいいことも悪いことも全部アメリカのせいにする原因かもしれません。言語は思想でもあるのです)からだとのこと。二言語では他者を自己の流儀で理解するか、自己を他者の流儀に同一化させてしまうかどちらかに行き着いてしまうことが多い(それは健全でない)(前述のユリイカ近藤大介氏)とのこと。
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