ノルマを廃止する資生堂
資生堂が営業社員のノルマを撤廃し、顧客の再来店率など顧客満足度を評価基準にすることに決めたそうです。
これも裏話ですが、化粧品業界ではノルマをこなすために営業とチェーンストアの売り場担当が持ちつ持たれつの関係になっていることが多いです。つまり化粧品メーカーの営業は、ノルマをこなすために月末になると店に無理矢理在庫を突っ込みます。店の方は売り上げ、利益率、在庫回転率という3つの数字でがんじがらめに管理されていますが、逆を言えば評価項目が3つあるわけです。ですからメーカーの在庫を引き受ける代わりにリベートを多めに入れてもらって利益率を確保するのです。で、月が変わると余計な在庫は返品すると上司に約束すればこの取引は成立します。
これはメーカー側にとって大局的に見れば運賃を払って無駄な商品移動をしているだけのことなのですが、個人にノルマを課すと、大局的なことよりも個人の数字が大事になるのでそういう無駄がまかり通るのです。
資生堂はすでに06年から売り場で販売に当たる美容部員の売り上げ目標を廃止したそうです。その結果全体として売り上げが上がったほか顧客満足度も向上したのだそうです。確かに数字があるとそれにおいまくられて個別の接客がおろそかになります。先日書いた「恐い顔」の記事みたいに、お客さんが見えなくなってしまうのです。無駄な経費や作業をしてムリな売り上げを作ることに必死になると他がおろそかになってしまいます。
今や、ほとんどのものがネットで買える時代です。店に足を運んでもらうためには個別のお客さんを大事にしなければなりません。そういう意味ではノルマ廃止というのもありだろうなと思います。
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