ピアサポート その2
「ピアサポート」という言葉と自分が出会ったのは、昨年の春、32条問題で署名に協力した「こらーるたいとう」から
障害者に対するピアサポートセンター、ピアサポートの確立を求める緊急署名にご協力をお願いします。
という案内が来たときでした。でも自分はこのとき「ピアサポートって何?」という感じだったので協力できませんでした。自分で事柄を説明できないものには協力も何も全然出来ないのが自分です。このときは精神科病院や病院施設内グループホームの制度化を障害者自立支援法の中に盛り込む動きがあったのです。こう言われても何のことか分からないですよね。言い換えると先進国と比較して桁違いに多い精神科病院の病床数を7万床減らす厚生労働省の施策に対して、現状では地域の受け皿がないので精神科病院のなかにグループホームを作って(実際は同じ病床で看護師などのスタッフが少ないだけ)名目上病床数を減らしたことにするという話です。ですからこれでは精神科病院から一生出られない人はそのまま取り残される、むしろさらに環境が悪化するという事を意味するのです。
実は先日の「そのまんまが大好き」ビデオ上映会ではべてるが実践しているピアサポートの事が取り上げられました。浦河日赤病院に入院していた患者さんをべてるのメンバーがサポートして1日外出したり、当事者のサポートによって患者さんを退院に導いていく様子が紹介されたのです。これをみて自分は初めて「ピアサポート」の意味が分かりました。べてるのピアサポートは当事者が主体で動いているべてるならではの取り組みだと思いました。それとともに「ピアサポート」が医療全般、さらにそれを飛び越えDVやセクハラ被害者に対して、あるいは犯罪被害者に対して、その他いくらでも応用が効く事であることを即座に理解しました。当事者でなければ分からない事っていっぱいあるんです。当事者同士だから気がつくこと、共感できる事、ぶっちゃけで話せることがあります。当事者、経験者にサポートしてもらえたら本当に楽になることが多いだろうなと思います。例えば不妊で悩んでいる女性同士、そこを乗り越えて出産にこぎつけた人からいろんな意味でサポートをしてもらえればずいぶん気持ちが楽になるはず。少々話しにくいことも、経験者同士なら話せる場合もあるでしょう。
ピアサポートという概念はもっともっと広がっていくべきです。べてるは当事者主体で、先日も日赤病院の川村先生やソーシャルワーカーの高田さんなども来ていましたが、何か質問が出たとき答えるのはべてるのメンバー。向谷地さんもそうですが、なるべく後ろにいてメンバーの力を存分に生かそうとします。だからべてるは続いてきた。だから一人ですべてを引き受けてしまった水谷先生は行き詰まっている。そういう風に思えてなりませんでした。
11月9日追記:森田さんのビデオ上映会のタイトルが間違っていましたので修正しました。大変申し訳ありませんでした。
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コメント
ピアカンについて、ご参考に。
■川口市精神障害者当事者団体「よつば」の会より(ハートフル川口HPより一部引用)
「よつばの会」とは? この会は、
1.会員同士の親睦を深める 2.地域との交流を図る 3.精神障害者について正しい知識を学ぶ 4.地域の方に精神障害の理解と協力の輪を広げる という目的のために活動をしていきます。
現在川口市では精神障害者家族会「わかば会」が活動していますが、家族の立場での活動であり、当事者が自ら活動しているグループは保健所・保健センターで活動している自主クラブになります。
ですが、自主クラブが当事者の会として川口市在住の精神障害者を対象とした当事者の会になることは難しく、メンバーもこのままの位置づけで活動したいと話しています。
しかし、行政や関係機関だけが普及啓発活動をするのではなく、障害者が自ら普及啓発活動をする必要性があること、偏見や差別を無くすには障害者自らが障害者団体などに登録し理解してもらう活動が必要であること、などの理由で当事者の会が必要でした。
~よつば~の当面の活動は月に一回集まり勉強会や情報交換、茶話会、施設見学会等、家族会の活動とほぼ同じ内容で行い、軌道に乗れば情報誌もより充実していきたいと考えています。
また、この会を通じて将来、セルフヘルプグループ活動、ピアカウンセリング、ピアワーカー、ピアヘルパーなどへ展開できればと考えていますので、たくさんのお問い合わせ・ご参加をお待ちしております。
会の目的(障害福祉課さんが作ってくれました!)
この会は、精神障害者同士の親睦を図り、他機関と連携を取り地域精神保健福祉の普及啓発を行うとともに、自ら学び助け合い社会参加して、その福祉の増進に貢献することを目的とする。
会員コラム
退院してから一年が経つ。統合失調症で入院していた時は、家でゆっくり休めることを目指して、心地良いとは言えない病院という環境の中で頑張ってきた。
一年経って、よくここまで回復したなあと思う。私は本が好きなのだが、難しい本も読むようになったし、週三日といえど仕事にも通えるようになった。!
時にふと、調子が悪くなると、何でこんなにつらいんだと思うが、退院した時を想うと、今はよくやっているなあ、と思う。このまま、無理をし過ぎないで、ぼちぼちとやっていきたい。
(きんぎょちゃん)
「精神疾患を抱えながら仕事をする人」へのインタビュー
場所:市内のファミリーレストラン
日時:2007年6月5日(日)午後4時
インタビュアー:よつば編集委員Q
対談者:独身男性Aさん
Q:初めまして。今日はお忙しいところすいません。
A:いいえ。
Q:個人的な質問は答えなくて結構です。
A:はい。わかりました。
Q:現在はどのようなお仕事をしていますか。
A:居酒屋でアルバイトです。
Q:夜のお仕事ですね。時間は?
A:夜10時から朝5時までです。
Q:昼夜逆転ですね。生活に支障きたしませんか?
A:週3日程ですので影響は感じません。
Q:若いからな(笑)今まで苦労お有りだったのでしょうね。
A:人に言えない苦労ばかりでした。
Q:病気を抱えている方へ一言お願いします。
A:うーん・・・まず、外へ出ること。家に閉じこもらないで欲しいですね。
Q:そうです。仕事に従事しなくても外に出る、大事な事ですね。今日は有難うございました。
A:いいえ。
対談後記
一般の人さえ就職・労働生活は苦労が多い。精神疾患を抱え、仕事に従事することの難しさを切実に感じる次第です。
活 動 日:毎月 第4週の木曜日
活動時間:午後2時30分から4時まで
活動場所:ハートフル川口2階集会室(お問合せは巻末に)
〒332-0021埼玉県川口市西川口6-17-46 http://www.koujinkai.or.jp/heart/index14.html
当事者のみによるお気軽交流お話会
開 催 日:毎月第3週の木曜日 (12月は9日日曜日以後未定)
時 間:午後2時から4時まで ご自由にご参加下さい
場 所:川口駅東口キュポ・ラM4階 かわぐち市民パートナーステション内
埼玉県川口市川口1-1-1 電話:048-227-7633
http://www.city.kawaguchi.saitama.jp/volunteer/
サポートスタッフさんからのひとこと
「よつば」の皆さん、応援している方々こんにちは、川口市福祉部障害福祉課障害福祉第2係精神担当の遠藤哲一郎です。精神保健福祉士の採用で入職して5年目になります。
「よつば」とは当事者会発足準備会より関わっています。定例会に参加しみんなと話をする時間は自分にとってとても貴重な時間です。市の職員として現場での生の声を聞くことも大切なことですが何より自分の心が和みます。
今の仕事は、昔の専門職としての仕事だけでなく苦手な事務処理が多く時間がかかり苦戦しています。そんな中で障害者自立支援法がスタートし、事務量が倍になりますます混乱してま~す。
こんな時こそ初心に返りみんなの話がきけるとほ~っとします。これからも精神障害者の福祉と自分のためにできるだけ参加する予定です。今後もよろしくお願いします。
お問い合わせ【よつば事務局】
〒332-0021 埼玉県川口市西川口6-17-46 ハートフル川口内
℡:048-256-8787 担当:岡崎
**************************************************:
社会福祉法人JHC板橋会
〒174-0072 板橋区南常盤台2-1-7 電話:03-5986-7551 FAX:03-3554-8202 e-mail:worktry@jhcitabashi.or.jp
セルフヘルプグループの説明
http://home.p02.itscom.net/kibunnet/shg.htm
「暖炉の会」のホームページがリンクしています。
http://home.p02.itscom.net/kibunnet/index.htm
投稿: ばう | 2007/11/06 07:45
○ばうさん
すごく具体的な情報をありがとうございました。自分も参考にさせていただきますし、他の読者さんも参考にしていただければと思います。
自分はさいたま市(旧大宮)にある「やどかりの里」にも注目しています。いつかやどかりの里の記事を書こうと思って情報を集めています。詳しくはグーグルなどで検索して見てください。
投稿: なんちゃん | 2007/11/07 16:24
ウィーズ!
http://weeds-saitama.com/
ややアナーキー・・・
竹内さん、いい人。直メしてみたらどうですか。
統失です。奥さんが素晴らしい・・・うらやましい・・・うちの連れは・・・
投稿: ばう | 2007/11/07 21:13
○ばうさん
おもしろーいです。いろんな人がいますね。ちょっとご本人のブログを追いながら、折を見てメールして見ます。それにしても、ばうさんってお連れがいるんですか?
投稿: なんちゃん | 2007/11/09 11:16
川口市在住の精神障害2級者です。
長女は15歳にて、統合失調症を発症再三の入退院を繰り返し31歳で再度入院
退院後の娘の言葉
「お父さん、私の青春を返して....。」
私はただ上を向き、溢れる涙を堪えるのみ
投稿: | 2008/07/13 23:52
こんばんは。よくいらっしゃいました。コメント拝読していたたまれぬ気持ちになりました。
実は7月27日に下北沢で「べてるの家」のメンバーである山本賀代さんたちのライブがあります。山本さんは10歳の頃から「お化け」と戦い、昼間は大人・男・痴漢・酒・薬・暴力と戦い続け壮絶な人生を今も過ごしています。年は確か自分と同じくらいではなかったかと想像します。娘さんより上ですが一回りまでいかないくらいでしょうか。
ご興味がありましたらプロフィールページよりメールでご一報ください。
投稿: なんちゃん | 2008/07/14 23:03