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2006/12/15

ロハス・メディカル

自分はうつ病以外にも慢性疾患にかかっています。一つはうつ病と密接にかかわるのですが脂肪肝です。働いていた時は立ち仕事で、店の中を縦横無尽に歩いていましたし、荷物も持ったり(衣料品というのもダンボール一箱になると相当な重さなのです)、店頭で朝市をしたりと本当に良く動いていたのですが、うつになってから動けなくなってしまったためにどんどん太り体重が20キロ近く増えてしまいました。内臓脂肪がものすごいことになっていて中性脂肪値が一時正常の6倍にもなってしまいました。それで通院している精神科と同じ病院で消化器内科の薬も継続的にもらっています。またこれも病気になってからなのですが、疲れがたまると慢性じんましんが出るようになっていてこれも投薬治療を受けています。30代でこれだけ慢性疾患を抱えて病院通いをしている人はかなり少数派でしょう。おかげで医師とのコミュニケーションのとり方もつぼを押さえるようになってきています。限られた診療時間の中で以下に要領よく症状の変化を伝えるかということをとても意識していて、受診前に必ずノートにまとめてそれを見ながらもれの無いように話す習慣ができています。

しかし、自分ぐらいの年でかかりつけ医がしっかりあるという人は少数派だと思います。あまり体にがたが来る世代ではないですから会社の健康診断で異常値が出るか、ちょっと風邪でもひいてしまったなんていうとき以外は医者にかかることはほとんど無いでしょう。まして転勤族ならなおさらです。

今、厚生労働省は病院と診療所の役割分担ということをさかんに言っていて、大きな病院に紹介状無しで行くと特定療養費なるペナルティを課されます。つまり先ず町の開業医にかかって、そこで対応できないものを病院で診るという形にしたいのです。しかし患者側から言わせると転勤した知らない町で、自分と相性のいい開業医を探すのは至難の業です。広告を沢山出しているところが良いとは限らないですし、地元の口コミを耳にするほど長くそこにいることも少ないでしょう。

それよりももっと大きな溝があります。普通私たちは病院に行ったり、薬を飲んだりする時はその症状や病気が治ることを前提にしていると思います。しかしよく知られていることですが、風邪が治る薬はありません。市販の風邪薬は症状を緩和するだけが目的で、治療薬ではないのです。同じようなことが多くなってきています。いわゆる生活習慣病をはじめ、治らない病気が増えてきています。というよりもずいぶん昔に書きましたが、治せる病気に関しては医学の進歩でほとんど治せるようになり、治せない病気だけが残っていると考えるのがよいようです。

治せない病気とはいっても風邪薬と同様に症状を緩和させたり、あるいは進行を遅らせることはできるのです。医師の世界ではよく「QOL」(クオリティ オブ ライフ=生活の質)と言う言葉を使います。QOLを高めるためにはどういう治療が望ましいのか、あるいは医療ではなく看護の分野にゆだねたほうが良いのかなどいろいろな議論がなされています。

前振りが長くなりました。医師の側と患者の認識のずれを埋めるべく、医師の側からいろいろな試みがなされています。かんぞうのしんぞう先生こと加藤慎三先生の提唱する「患者学」と言う考え方については「当事者性の回復」と言うテーマで、ここでも取り上げたことがあります鳩ヶ谷雑記:患者学という考え方。先生はまた「MELIT」というブログツールを立ち上げ、患者と医療者の双方がブログ雑記をつけ読みあうことでお互いの立場を分かち合おうとされたりしています。ただ、MELITのほうはいまいちうまくいっている感じがしないというのが自分の個人的実感です。というのも執筆者がそれぞれのブログをもって、それを束ねると言う形なので、読みきれないことが多いのです。今回ご紹介する「ロハス・メディカル」は首都圏の総合病院を中心においてあるフリーペーパーです。フリーペーパーとは言うものの中身は相当練られていて、取り上げられるテーマも身近だし文章もとても分かりやすく「へえ、そうなんだ」と思うようなところまで突っ込んで書かれているのが特徴です。通販や定期購読にも応じていますので興味のある方はぜひ一度手にとってみてください。自分が書きかけの産科問題や小児科問題もテーマになったことがあり、医療現場の現状と問題が分かりやすく説明されていたので、丸ごと転載させていただこうかと思ったほどです。(一応問い合わせましたら、見開きぐらいは引用しても良いけれど全部はね・・・とお返事いただいているので十分考えながら使わせていただくこともあると思います)

ロハス・メディカルのホームページではブログも展開されているのでこれも一読の価値ありです。こうした医師の側からの投げかけに対して自分ら患者のほうはどう答えていくのがいいのかなといつも考えています。医師は職業だからほとんど毎日こうした問題を考えていることでしょうが、患者は自分のような慢性疾患の患者でもなければ普段医療について考えることは無いでしょうから(むしろそれが健康の証・・・でない場合もたまにありますが)、意識の隔たりを埋めていくのは本当に大変な作業だと思います。この記事をきっかけに読んでいただいているみなさんにちょっと興味を持ってもらえればと思います。

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