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2006/12/26

ヨーカドー、重症から重態へ

先日のZARAの記事で、小売店、特に衣料品を扱う店において12月がいかに大事かを書きました。12月は年間利益の半分を稼ぎ出す月です。ここでおかしなことをしていたら致命傷です。1月のバーゲンの売り上げなんてたかが知れているし、そもそも12月の値段では通らなくなります。12月中に無くさなければならない商品もあります。例えばセーターならば糸の太いものほど早く売り切らないとなりません。フィッシャーマンセーターなんかを1月中旬に抱えていたら目も当てられません。クリスマスで完売させなければならない商品です。

どの商品をいついくらで売るか、在庫量をにらみながら決めるのは経験が物を言います。今年で言えば10日まではコートやスーツを一生懸命売って、24日まではクリスマス向けのおしゃれっぽいカジュアルや服飾、25日に売り場の色を春カラーが目立つように変えて、普段着や部屋着、帰省で着ていけるようなカジュアルを集中販売しなければなりません。1月は年明けからバーゲンですが、すでに需要が一段落するのでそんなに売れないのです。

こんなことは基本の「き」です。それが今のイトーヨーカドーではできていません。びっくりするくらい売り場が汚いし商品がすかすか。先週ははクリスマスだぞ!というのに一番前がファー付きコートだったり、洗えるウールセーターだったり、モールのハーフジップだったり、ひどいところはpbiのフリースジャケットだったり。フリースもユニクロより物が悪くてユニクロより高い。売れるわけないじゃないか。さらにひどかったのは秋物のテレテレの長袖Tシャツや薄地のカジュアルシャツを円形ハンガーにつるして1000円均一で売っている。こんなものは10月中に無くさなければならないのに、あるいは12月だけ引っ込めて1月のバーゲンの時売り場の後ろのほうでひっそりと売れば良いのに。少し前からおかしいなと思っていましたが、春物でpbiなんていう誰が着るのか分からない商品を大量展開して大失敗して夏物もそうで、秋からどうなるかと思ったら守りの一手。pbiは昔のIYベーシックと同じ無地のポロシャツとか失敗しないことだけを優先した商品構成になり、手っ取り早く売り上げが取れる「美濃屋」や「水甚」の商品で自前の商品を隠すほど自信を無くし、あるいは赤羽店みたいに百貨店の平場で売っているブランド衣料で前面をがっちり固めたり。ブランド衣料は返品が効きますからノーリスク。その代わり利益率は本来ヨーカドーが目指さなければならない利益率より相当悪い。それでもあの春のpbiの失敗が、「二度と失敗は許されない」と言う意識になってがちがちになっているのでしょう。だから見切りも遅い。売れるときに売れる値段で売らないからどんどん後方在庫が増えていることでしょう。

こんなヨーカドーは10年前には考えられませんでした。毎週自分が競合するヨーカドーを見に行って、月に1勝3敗していました。やられてばかり。「あー、こうするのがいいのか」と勉強になることばかりでした。今はヨーカドーに買う物がない、行く度にあまりにひどくて腹が立ってくるのです。

衣料だけならまだしも、食品が大問題だと感じます。いちいち近隣のスーパーより値段が高い。新発売の商品なんかメーカーがリベートで補填するから普通は既存の商品より安くなるものなのに、むしろ高かったりする。弁当もサンドイッチもコンビニの商品みたいで買う気がうせる。なにしろ高くて腹が立つのです。済生会川口病院に行ったときなど、気が進まないなと思いつつヨーカドーの西川口店でお弁当を探したりするのですが、鮮度感があって値段も手ごろなものは全然ない。飲み物だけでもと思っても近所のスーパーやジャスコで買う値段からすると馬鹿みたいに高くて、結局何も買わずにでてくることがたびたびです。

5年後にはヨーカドーは滅びるんじゃないでしょうか。セブンイレブンはATMも入ったりしてコンビニとしての品揃えも抜群で、いいのですが・・・。新聞によるとジャスコのトップバリューみたいなオリジナル商品を企画しているそうですが、セブンイレブンとヨーカドーで共通で売るんだそうです。そんなものヨーカドーで買うか!

イトーヨーカドーの発祥は足立区の北千住。ここは大阪出身で、今、千住のタウン誌を発行している舟橋さんと言う方が「東京で唯一大阪の香りがする」と言っていたところです。そのくらい品質と値段に厳しいところです。千住で鍛えられてヨーカドーは大きくなってきました。

しかしスーパーの経営者は往々にして、スーパーは2流で、ゆくゆくは百貨店をやりたいと思うものらしいです。そこでヨーカドーは「ロビンソン」を、ジャスコは「ボンベルタ」という百貨店もどきを作りましたが、ボンベルタは不振で上尾の店なんか数年で閉店。「ロビンソン」も年がら年中カード会員の2割引セールをやっていて、問屋もあきれたようです。当時ヨーカドー労連の委員長だった柳沢みつよし氏の講演を聞いたことがありますが、「うちの社長はやめとけば良いのに百貨店をやりたがって困る」とぼやいていました。この柳沢氏は今、民主党から出馬して参議院議員をしています。

柳沢氏がぼやいた「百貨店志向」は、そごうと西武をグループの参加におさめることで形としては達成しました。しかし幹部がその戦略として「百貨店の接客ノウハウをヨーカドーに生かす」と発言。勘違いも甚だしいと思いました。客がヨーカドーに期待しているのは、欲しいものを安く売ることであって、百貨店のような濃厚な接客を望んでいるわけではありません。

自分の座右の銘は「古き泉は新しき水」というものです。いわゆる老舗は常に時代感覚をとらえて、伝統を生かしながら常に進化してきたのです。今のヨーカドーは長崎屋のようです。長崎屋なんて中堅スーパーとも言われませんが、実はいわゆる大型スーパーが勃興した頃いち早く抜け出して、今で言う勝ち組企業になった時代があるのです。ところが「一流企業は食品なんか扱わないんだ」と言うおごりがでて、主力の衣料品が低迷する中売るものがなくて行き詰まり倒産。今は外資の投資ファンドなどにもてあそばれて見る影もない会社になりました。

今のヨーカドーは昔の長崎屋を彷彿とさせます。プライドばかりでかくて、消費者ニーズを全く捉えていません。12月も後半になれば平日でもそこそこお客がいてもよさそうなのにがらがら。自分の通っているデイケアでも患者さんが「ヨーカドーは高い。安いものはそれなりの品質」とはっきり言うほどです。このブログの読者さんからいただいたコメントでも、「ヨーカドーでは買う物がない」「ジャスコのトップバリューは気に入って買っている」などの声。

ヨーカドーは解体的出直しが必要でしょう。

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コメント

いつもながら、勉強になります。
そうなのかーといろいろ思いました。

ボンベルタは、宮崎のお義母の行きつけなんですよ。帰省したときにいってみたら、古きよき百貨店、という趣でした。まぁ高いし狭いし、若い人はいかないよな、という感じで。おかーさんは店員さんと懇意で、おしゃべりに行ってみるみたいですが(^^;
宮崎以外でボンベルタを見かけたことなかったのですが、ジャスコだったのですねぇ。初めて知りました。そんなボンベルタも、郊外にでっかいイオンが出来て、それのあおりを食っているみたいです。

これからお店に行くときは、なんちゃん的視点もちょっと付け加えてみれそうです~。ありがとうございます。

投稿: ゆみ | 2006/12/28 16:37

ゆみさん、こんにちは。
カタカナ名前の百貨店もどきは全部スーパー系列ですね。考えたらプランタンもダイエーが作った百貨店でした。もう銀座以外はダメになったと思います。ボンベルタは宮崎にもありましたね。ボンベルタは上尾、成田と確か合併前の伊勢甚ジャスコが水戸でやっていたように記憶しています。

なんだか最近は「もう絶対に小売の世界に戻らない」と思っていて取材するのもめんどくさいのですが、でもおもしろいでしょ。だからもう少し書こうかなと思っています。乞うご期待!

投稿: なんちゃん | 2006/12/31 06:18

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