三重苦のイトーヨーカドー
最近、夢に出てくるのであまりスーパーの衣料品売り場をなるべく見ないようにしているんですが、それでもこの天候で窮地が想像できてしまいます。
関西以西の方にはあまり伝わっていないと思いますが、今年の関東は8月初旬としては北海道並に涼しいです。電車でクーラーをかけられると、かえって気持ち悪くなるくらい。自宅でもエアコンほとんど使っていません。
昨日ダイヤモンドシティ・キャラへ、というよりもジャスコの火曜市で食材を買いに行ったのですが、店内放送で衣料品のセールの案内。ショートパンツなんか4割引にしているらしい。3割ではなく4割と言うところに危機感を感じます。紳士物のタンクトップなんかほとんど売れていないでしょう。
ここのところイトーヨーカドーへ行くと背筋が寒くなることばかりで、これこそ夢に出てくるから怖くて衣料品売り場に近づけません。今、イトーヨーカドーは三重苦で売り場はアップアップだと思います。
一つはやはり夏物、特に盛夏物がほとんど売れていないだろうと言うこと。ヨーカドーにとってしんどいのは店舗が東日本に偏っていることです。ジャスコやサティなら、まあ例年並みの暑さの関西以西の店舗に商品を振り分けることができますが、ヨーカドーはそれができません。盛夏物は撃沈でしょう。
もう一つは自社開発商品のpbiやepomが本当にひどい商品なので値引きロスがすごいことになっているだろうと言うこと。しかもトップの肝いりでやっている商品だけに見切りが遅い。春物でも大失敗して倉庫が山になっているだろうに、夏物が売れなくて店舗もきついけれど、バイヤーが真っ青でしょう。衣料品の不良在庫が数億円になっていると予想します。実際アリオ亀有のヨーカドーでは、夏物の立ち上げの時、自社ブランドコーナーがそれだけでは売り場を組み立てられず水甚からモノトーンのちょっと毛色の違う商品を仕入れて一番前にどんと並べていました。困った時の水甚、トミヤアパレル、美濃屋頼みは自分がいた頃のサティにそっくり。
もう一つは社長の鈴木敏文さんが現場の窮状を全く分かっていないらしいことです。なんだかよその会社の社外取締役かなんかまで引き受け、商売論の本も出したりしているけれど、例えば商品を変えると言う時に店舗特性にかかわらず全店同じ品物を入れると言うのは、ダイエーが中内氏の鶴の一声で売り場から社員を抜いて、衣料品は手間がかからないようにセーターまでハンガリングして伸びていたことや、マイカルが小林氏の鶴の一声で、社員一人にパート5人なんていう超小型店までサティに看板換えしたのと似ています。川口駅前店とアリオ川口に全く同じものを並べてどうするんですか?亀有はもっと深刻で亀有駅前店も相当の規模があるのに、アリオまで歩いても5分だからみんなアリオに行っています。駅前店はタイムサービスなんてのをやっている、それもおいておけばそれなりの値段ではけるものを、わざわざ見切って売っている。人件費の無駄だし、値引きロスもその分増えるのに、それどころではないんですね。なにしろ売り上げという姿勢で、10年前のように作業の見直しなどで地道に粗利を稼いでいたのとは正反対。
これで三重苦なんですが、実はもっと深刻な問題があります。自分も以前から思っていたのですが、全体的に売り場の商品が質が悪くて高い。デイケアにきている方であまりお金にゆとりのない方が「ヨーカドーより専門店のほうが安いよね」と言っていたのも、ホントその通りだと思ったし、食品もジャスコなら100円で売っている有名メーカーの500ミリペットボトルのお茶が130円もしたり、缶コーヒーが100円以上もしたりします。冷凍食品の割引セールもよくチラシに出ていますが、サミットなら毎日3割引。どうせ定価では買わない(買えない)ものになってますから、ヨーカドーの都合で安い日に買いにに行くより毎日それなりに安いところで買いますよ。食品以外でもサーフブランドやスポーツブランドのTシャツを1900円、2900円で売っていたけれど(バーゲン前)そのクオリティならユニクロで1000円で買う。1900円出したらL.L.Beanの質のよいTシャツがバーゲンで買えますよ。
家電と靴を自前売り場にこだわっているので、ルーターとかLANカード程度のものがない。靴もよくない。ABCマートへ行く。
現場が物を知らない。どの商品をいつ売って、いつまでに見切るか分かっていないし、Yシャツの形態安定と形状記憶がどう違うのか説明できない。
自分がライバル視していたころのヨーカドーはもうないです。純粋に買い物に行くとだんだん腹が立ってくるんですよ。馬鹿にしてるよ、客を。
セブンイレブンは相変わらずコンビニの中でも群を抜く品揃えで、あそこには(コンビニは最近使わないけれど)行くんですよ。数年後には実質的にもセブンイレブンが主導権を握り、ヨーカドーはお荷物会社になっているでしょう。
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コメント
こんばんは。「衣料品売り場」で検索していてたどり着きました。
Yシャツの形態安定と形状記憶がどう違うのかと聞かれたらなんて説明すればいいのか教えていただけませんか?
よろしくお願いいたします。
投稿: ナツミカン | 2006/08/21 22:46
ナツミカンさん、ようこそ。
形状記憶というのはVP加工といって、東洋紡とクロダルマの共同開発(品物には普通東洋紡の表示のみ)したものです。形状記憶は商品に薬品をかけます(以前商品会ではかける回数も違うと聞きましたが定かではありません)。形態安定は原反に対して薬品をかけるのでVP加工のほうが強い復元力を持っています。ちなみにポロシャツなどでもVP加工の糸は使われています。形状記憶と書いてあったらおそらく東洋紡のタグがついていると思いますのでご覧になってみてください。一般的に形状記憶のYシャツのほうが値段が高いのは、それだけ手間がかかっているからです。
投稿: なんちゃん | 2006/08/22 00:39
ウチの店には形態安定加工のものしか無いと思い込んでましたが、
東洋紡のタグ見たことあります。今度もっとタグをよく見て
『VP加工』っとなっていたら形状記憶の商品としてアピールしたいと思います。
ありがとうございました。
投稿: ナツミカン | 2006/08/24 19:47
ナツミカンさん
お役に立ててなによりです。今は半そでがまだあるから在庫ポジション的なことから欠品しているかもしれませんが、量販店ならこれから月末にかけて利益率対策で秋物がどかっと入るはずですから、きっとその中にあると思いますよ。
疑問に思ったことをすぐ調べて売り場に生かすというのは、地道なことなのでなかなかやらないで済ます人が多いですが、必ず売り場の差別化につながり売り上げにつながりますから、ぜひぜひ続けてくださいね。
投稿: なんちゃん | 2006/08/24 21:21