« 追熟 | トップページ | かさぶたが少し欠けました »

2006/05/16

モラルハラスメント

セクハラ、パワハラなど人の弱みを突いて追い詰める行動が問題意識を持って語られるようになってまだ日が浅いですが、これは問題が新規に発生したのではなく、以前から被害者にとって精神的苦痛を与える行為であったにもかかわらず表面化してこなかっただけです。弱い立場であった女性や若者が人権意識を高めるにつれて、こうした行為によって傷ついている人が声を上げ、社会的なサポートが必要であると認識されるようになったと言うことだと思います。セクハラ(セクシャルハラスメント)はすでに社会にほぼ根付き、企業や官庁、学校ではどういう行為がセクハラを教育する機会が設けられたり、誰が見てもひどいセクハラ行為には懲戒解雇を取るようなケースもでています。パワハラ(パワーハラスメント)も、放置すればイメージ低下につながる企業の中で特に対策が進みつつあると言えます。

最近になって「モラルハラスメント」という概念が徐々に浸透し始めています。4月15日の日経夕刊にこれが取り上げられました。まだなかなか認識しづらいモラハラ。ネット版の記事をリンクしたかったのですが、すでにもうないので、かなり長くなりますが記事を引用して、自分の考えを書きたいと思います。

自分の実体験を織り交ぜますので、苦手な方やフラッシュバックしそうな方はここで読むのをやめてください。


首都圏に住むAさん(35)は夫より早く帰宅するため、毎日、終業と同時に会社を飛び出す。しかし退社が遅れたある日、家につくと夫は不機嫌な顔でソファに座っていた。「食事の支度もできないなんて、主婦としての自覚が足りないんじゃないか」と一言。
あわてて「すぐに何か作るわ」と動き出すと、「いまさら食べる気分じゃない」。「ごめんなさい」と立ちつくすAさんに聞こえるように、夫は深いため息をつく。「謝ればいいってもんじゃないだろう」「じゃあ、どうすればいいの」「そんなことも分からないのか、お前はおれの気持ちなんてどうでもいいんだよな」。言い捨てて夫は部屋を出てしまった。「何が機嫌を損ねるのかまったく分からず、緊張のとける暇がない」とAさん。

さあ、どうですか?身近にこんな人いませんか?自分の場合母親がもろにこれです。一時自分も影響されてこんな行動を取ったりしていた記憶があります。自分に関しては今は大丈夫だと思いますが(以心伝心なんてありえないと認識していますから)、母に関して言えば死ぬまで治らないでしょう。すごく責めているように聞こえるかもしれませんが、そうではなく冷静にそう思うのです。放置すれば共依存関係に陥り、親子なら自分のようなAC(アダルトチルドレン)になること、請け合いです。

さらに続けます。

これはモラハラのごく一例だ。「モラルハラスメント」の名付け親、フランスの精神科医マリー・フランス・イルゴイエンヌさんは、著書で「言葉や態度によって巧妙に人の心を傷つける精神的な暴力」と定義し、職場だけでなく夫婦など生活のさまざまな場で起こっていると指摘している。 「こころのサポートセンター・ウイズ」(熊本市)のカウンセリングなどにも、夫婦間の相談が多数寄せられる。どの家庭でも、夫婦のどちらかが機嫌を悪くすることはあるだろう。しかし、モラハラの現場では、こういったやりとりが日常、何年にもわたって繰り返される。(なんちゃん注:自分は物心ついてから、うつ病を発症して医者の指示でアパートに一人住まいするまでずーーーっと、でした) 個々の言葉や態度は特に問題だとはいえないので、被害に遭っても最初は気づかないことが多い。しかし、頻繁に繰り返されるうち、Aさんのように混乱し、相手の顔色をうかがって常に緊張と不安を抱くようになる。無視や皮肉を巧みに使うモラハラに遭うと「悪いのは自分だ」と感じ、罪悪感で追い詰められるケースも目立つ。 私たち(こころのサポートセンター・ウィズ)がホームページで取り上げ始めた2000年以降、夫婦間の相談は年々増えている。30年近く夫のモラハラに耐え続けてきた女性や、うつ病になってしまった相談者もいる。

ここまで書くと、自分(なんちゃん)が「ACでうつ病」とタイトルにあげていることの原因が、少しだけでも分かっていただけるかもしれません。この記事、書いているだけで自分はむねがどきどきして、往時のことがフラッシュバックされます。でもせめて読者さんに少しでも伝えたいから、頓服飲みながら続けます。

モラハラ加害者特有のコミュニケーションが5つまとめられています。

1、あなたが他人と話すことを嫌う(父と話すのも嫌な顔をしたし、勝手に自分の子どもは「結婚しない」といったといって悦に入っていました)
2、何か失敗すると「社会人として未熟」など、人間性や性格をけなす
3、「こってりした食事は出すな」「わびしい食事で栄養失調にさせる気か」など、発言がころころ変わる(ほんとうにそうでした)
4、何か頼むと承諾しながら、みけんにシワを寄せるなど言葉と違う態度を取る(要するに自分がいい人でいたいから、NOとは言わないんです。コミュニケーション不全です。自分もひょっとするとこれが少し残っているかもしれません)
5、不機嫌な理由を尋ねても「考えれば分かるだろう」と答えるなど、具体的な話をしない(要は自分でも分からずに言っているんです。幼稚なんです)

さて自分(なんちゃん)はどう対応すればよかったのでしょう?

モラハラだと気づいたら、話すときは挑発に乗らないように注意する。加害者は話を巧みにすりかえ(注:これ、多分無意識にやっているんですよ)、あなたの混乱に乗じて都合のよい方へ導いていく。落ち着いて考えるための情報や時間を確保し、相手のペースに巻き込まれないことが大切だ。 最も相手を変えることはなかなか難しい。毅然とした態度をとると攻撃が激しくなることも多い(自分の時は、ちゃぶ台どころかテーブルをひっくり返しましたね)。そんなときは思い切って距離を置くことも必要。安全な場所で心を回復させながら対応を考える。

とのことです。今親と離れて暮らしていることが(経済的には問題ありですが)どんなに自分にとって楽か、自分が親のことを「家族」といわない、親の家を「実家」と呼ばない、籍はとっくに抜いてあるというのが少し理解されるでしょうか?

セクハラやドメスティック・バイオレンスも社会問題として認識された当初は過剰反応のようにとらえられがちだった。しかし概念が浸透した今では誰もが卑劣な行為だという認識を持っている。 モラハラについても、できるだけ多くの人に存在を理解して欲しい。モラハラが起きたときに周りの人もモラハラを行っている人自身も、その行為が精神的な暴力だと分かる視点を持つこと。それが被害者の回復のスタートになり、新たな加害行為を防ぐことにもつながると信じている

筆者の西原鈴代さんは以上のようにモラハラを行っている人自身も気がつくことを期待していますが、自分や他の被害者さんの例を見ると、相手の幼児性によるところが大きい気がするので無理だと思います。被害者がそれと気づいて、なにしろ距離を置くのが第一なのではないでしょうか。被害者もなかなか気がつけないことが多いと思います。そのままだと家庭なら夫婦なら共依存、子どもさんならACになる可能性がとても高いと思います。自分は相談機関の充実と、被害者への理解が進むことを望んでいます。

|

« 追熟 | トップページ | かさぶたが少し欠けました »

精神福祉・精神障害」カテゴリの記事

コメント

なんちゃん。素晴らしいエントリー記事です。

とてもまとまってて、解りやすい!
そうです。これをなかなか一般的には解ってもらえない。
被害者の方がむしろ・・
そんなことくらいうまくやれよ!とか
そうは言ってもお互い様なんじゃないの?などと、
一笑にふされることが多くて。解らない人には絶対わからないんだなぁって、思います。弁護士会とか心理カウンセラーの方々にもよくよく解ってもらいたいと思います。

投稿: パセリ | 2006/05/16 23:27

なんちゃんはいろいろつらい体験をしてこられたんですね。
うちの父親もまさにこのタイプ。
母も私も、父の地雷を踏まないよう、先回りしてさしさわりのない会話をしてすごしています。
本人がモラハラだと認識するのは無理でしょうね~。

父の場合は、孫(私の息子)に対してはいい人なので、母に被害が及ばないよう私と息子は実家に毎日のように通ったりしていますが、本当はしないほうがいいのかなあ?でも母1人ほおっておくわけに行かないですしねえ~。なかなか難しいです。

モラハラも社会的に認知されて、改善が進んでいくといいですね。

投稿: べる | 2006/05/16 23:42

 なんちゃん、おはようございます。
 とても参考になりました。
 なんちゃんのこと少し知り、いつも前向きな記事が多かったので、そうなんだと考え込まされました。

 夫婦が多いようですが、私の障害にある妹も母とか私達姉から、無意識にこうした感じで追い込んでいたようにも思えます。家族関係のことについて最近考えるようになりました。

投稿: ひる行灯 | 2006/05/17 07:04

ドキドキしながら数回読みました。

私は×1なのですが今思えば前のパートナーからモラルハラスメントを受けていました。
当時はそんな言葉も知らず他人にどう説明してよいかしっくりくる言葉がありませんでした。
離婚直後にDVという言葉を知り、言葉の暴力や精神的に追い詰めたりけなされたり・・・というのもDVに入るのかな?ってずっと思っていました。
去年どこかのサイトでモラルハラスメントという言葉を知り意味を知り、それまで離婚のことを聞かれても上手く説明する言葉がなかったけど私がされていたのはこれなんだ!と分かりスッキリした気持ちです。
離婚から年数も経っていますが夢に見たりフラッシュバックと言うのでしょうか?頭の中にボン!!っと思い出したくないことが出てきたりします。

自分ことばかり書いてスイマセンm(_ _)m
モラハラがもっと一般的に知られればいいなと思います。

投稿: ハル。 | 2006/05/17 15:45

こんばんは!なんちゃんのブログを読む度に、いろいろなことを考えさせられます。私は今まで、そういったことを知らなさすぎました。(反省!)いえ、本や雑誌で知ってはいても、まるで小説の中の出来事のように捕らえていました。現実離れしていました。そんな私でも、最近ACや、~ハラスメントなど
とても気になります。自分を取り巻く社会の問題として。うまくいえないけど、なんちゃんのブログの「モラルハラスメント」の記事、ゆっくり頭に入るように読みました。イロイロなことを教えてくれて、どうもありがとう。

投稿: タイタイ | 2006/05/17 22:42

大変大きな反響をいただきました。検索でも引っかかっているのでコメントいただかなかった方でも何かしら思うところがあってくれればよいなと思っています。だいぶ反動が出ましたが、なんとか3日で沈静化。このくらいですぐまたかさぶたができるようになったんだと、ほっとしています。

○パセリさん
背中を押していただいて書くことができました。自分も被害者だったと言うのは思いがけないおまけでしたが、こうやってきちんと整理してみると、今後もモラハラしそうな人の目見当がついてすぐに逃げ出せる気がします。この知識をを社会全体に広げていくことが課題ですね。けっして過剰反応などではないということ、分かって欲しいです。

○べるさん
おー、ベルさんのところもそうですか。お父さまが、と言うほうがありがちなのかもしれません。お母様ですが、一時的にお孫さんで気をそらすというより、抜本的解決をしてあげたいですね。ただ、うちの親みたいに年も年で、いまさら共依存がやめられないということもあるでしょうから見極めが必要なのかもしれません。

投稿: なんちゃん | 2006/05/20 05:02

○ひる行灯さん
実はそうなんです。このエントリー記事は別に母親をいまさら恨んでいるとか、そういうことではなくて、純粋に自分の理解を深めるとともに読んでくださっている方にも知って欲しいと言うことを目標に書いたのですが、世話になっている叔母が「いまさらもういいじゃない」と言ったのがショックでした。妹ということもあって、あまり自分の姉を悪く言いたくないのでしょう。犯人探しをしたって仕方のないことは十分認識しているつもりです。

ひる行灯さんのケースはちょっと違うんじゃないかなと感じています。モラハラ加害者は自分が加害者であることをほとんど認識できないと思います。

○ハル。さん
ご自分のことでいいんですよ。ノープロブレムです!
モラハラという共通概念が浸透していれば、自分の受けてきたこともながながと話さずにその一言で済みますものね。当時はおつらかったと思いますが、引きずらずに距離を置けたのはよかったですね。フラッシュバックも時間を経るほど大きく出てこなくなると思います。

○タイタイさん
タイタイさんはフェロウという立場で主体的に動いておられるので、だからこそいろいろな物事が見えてくるのでしょう。
自分で自分のことを話すというのは実はできる人とできない人がいます。自分で自分のことを説明できない人がモラハラの加害者の大半だと思いますが、ヒッポの活動では自分のことを話せないと他人の違いに気づかないし受け入れられないから、そういう加害者的資質を持っている人は入って来れないと思います。だから自分の中でヒッポは安心感があります。一度に自分のものにならなくても問題意識がある限りきっと、すっと分かる時があると思うのです。

投稿: なんちゃん | 2006/05/20 05:31

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/60361/10096189

この記事へのトラックバック一覧です: モラルハラスメント:

« 追熟 | トップページ | かさぶたが少し欠けました »