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2006/03/07

上達するには

先日、さいたま新都心にあるコクーンの紀伊国屋書店へ行ってきました。実はここには以前自分の店でアルバイトをしていた子が正社員で働いていて、今でも交流があって本を社員割引で取り次いでくれるのです。

夕方アルバイトさんが来るまでは主にレジカウンターの応対をしなければならず、その後に客注の注文をしたり自分の持ち場の本の品出しをしたりするのだそうで、帰宅は23時頃が普通とのこと。昔の自分も21時閉店で帰宅は23時過ぎが普通でしたから、流通で仕事をする人は分野を問わず夜遅いライフスタイルにならざるを得ないようです。イオン北戸田でも、モールの専門店で結構求人があるのですが土日出勤は当然として遅番が23時15分または30分まであって、それをこなせる人が少ないようです。当然ですよね。

先日本を受け取りにいくと、いろいろ取り計らってくれたので、ついでに「ここは買いやすいし、レジの応対もぴっちりしているよね」というと、「でも結構棚が乱れていて直せなくて大変なんです」とのこと。えー・・・これで乱れているというのかあ。自分には全然分からないです。本当に乱れているお店というのが本屋さんでもありますけれど、ここは全然そんな風に見えません。

やはり悪いところが見えるからそれを改善しようと努力するのでしょう。自分も店に勤めていた時はそうでした。

自分の友人には音楽や絵画その他、アーティストさんがたくさんいます。彼ら(先輩もいますが)のアーティストたるゆえんは、常に悪いところが自分で感じ取れて、それをさらに完璧に近づけるために日々努力して練習したりするからでしょう。良し悪しが分からないのにいくら練習しても上達するはずがありません。ですからたとえば演奏家であれば、確かに演奏能力も秀でたものがあるでしょうが、基本的には耳がよいのですね。聞き分ける能力が優れているからこそ、さらに上達しようと努力し続けることが出来るのです。完璧にできたと思う時というのは実はその人の限界に達した時でもあるといえます。だから老いてなお上達し続ける人の感覚というのは並外れたものなのでしょう。

アーティストに限らず、さまざまな領分でプロ足るには見分けたり聞き分けたりする能力が必要です。最近産業界で言われているのは、中国や韓国などの「まだまだ日本にはかなわない」という声が大きいということです。一見中国製品や韓国製品が巷にあふれているように見えますが、テレビやパソコンなどの製品の組み立てはそれらの国で行われていても、基幹となる部品では日本に頼らざるを得ないものがまだまだ多いのだそうです。これらの部品を輸出しているのは力量のある中小企業。これらの企業を支えているのがその分野の達人たる職人さんです。不可能にチャレンジし続けて他の真似の出来ないレベルまで技術を鍛え上げた人々が日本を支えています。そういう意味では「プロジェクトX」は日本中で行われていたのです。ちょっとした音の変化で機械の不調を聞き分けたり、ミリ以下の精度で部品を作り上げる人々。今でも精度を上げ続ける人たちの努力があります。

しかし流通・サービスの世界ではそうした技術はまだまだだなと思わずにいられません。商業施設の形態にしても、人々の満足度を極限まで上げる方法にしても、ほとんどアメリカの後塵を拝しています。未だに「ディズニーランド」が顧客サービスのお手本としてさまざまな本に取り上げられるのは情けないばかりです。努力し続けるために自分はいつも現場主義を貫き、感覚を研ぎ澄ましていきたいななどと思っています。

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