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2006/02/08

アリオ川口を酷評する

12月に一度ザーッと見たのですが、ここには特に用はないと思いました。でもブログを再開して、縁を切ったはずの商業記事も復活させたので、ちょっと取材に行ってみようと今日の夕方2時間ぐらいかけてじーっと見てきました。

あそこの店長は半年以内に左遷させられるでしょう。支配人とやらも同様です。あんなひどい店、初めて見ました。気が狂っていますよ。どこがそんなにひどいのか。分かりやすく端的な例で書くと・・・今日入ったチラシの食品部分は北イタリアフェアでまとまっているんです。メインはパスタやワインです。まあチラシでフェアを謳うのは分かります。しかしだからといって野菜のコーナーでナスをワゴンで山積みして売っているんです。ナスですよ。2月ですよ。


アリオ川口のチラシは毎週常識はずれの豪華さです。売上目標100億の店(モールも入れて200億目標との公式発表です)のチラシではないです。A3判8ページ、気合入れまくりです。しかし中身はピンボケ。春物衣料がメインです。しかも梅春(色だけ春カラーの冬物)ではなくて本当の春物です。さらにすごいのがイトーヨーカドーオリジナルのカジュアルブランド本日デビューというんです。

2階の衣料品フロアに行って唖然。チラシの商品どころか婦人も紳士もカジュアルの売り場が一面春物です。生半可じゃありません。自分は紳士が専門でしたからそちらで書くと、売り場の頭がポロシャツです。綿のセーター、ベスト、カーディガン。しかもピンクとかオレンジとかうぐいす色。誰が着るの?その後ろは綿のジャケットやら綿の長袖Tシャツやらカジュアルシャツやら。しかもデザインが最悪。ボーダーのTシャツなんかパジャマにしか見えません。変に凝って肩にボタンがついたトレーナー。着ますか?クレリック(襟変化)のカジュアルシャツだって。誰が着ているんだ、そんなもの。しかもコーディネイトされたちゃちなかばんまで置いてあるんです。

こういうばかげた売り場は「これだけがらりと商品を変えました」といってバカな上役に見せるのには格好のものです。しかし誰が買うんでしょうか。売り場で30くらいかな、社員と思しき子がパートさんとのどかに商品整理していましたが、自分だったらもう、とても怖くて怖くてやっていられないです。全部で春物が800万円くらい入っている感じでしょうか。少なく見積もっても今すでに400万円は値引きロスでしょう。値入が50%としても利益が全部吹き飛びます。100セット限りというスウェットの上下がほとんど売れずに残っていました。そりゃそうでしょう。ぺらぺらの裏毛の上下ですもん。何が悲しくてあんなぺらぺらなもの買いますか。だったらユニクロでもうちょっとましなのをもっと安く買うでしょう。

更に悲惨なのは冬物がほとんどないのです。今の時期売っていかなければならない値ごろの¥2900~¥3900のデザインセーター、無地の定番のベスト、セーター、カーディガンがほとんどありません。ハイネックにいたっては0です。ブルゾンやカジュアルコートもろくなものがありません。

はっきり言ってカジュアルで今売れるもの、欲しいものがほとんどないんです。社員もげんなり、客もがっかり。だいたい3月だって冬物処分を多少持っていないと月初苦しいのに、あれで平然としていられるのはよほど度胸が据わっているか、はなからやる気がないか、ぜんぜん分かっていないか・・・どれでしょうねえ。これが紳士カジュアルだけでも重症なのに子どもも婦人もみんなそうですから。

綿のセーターやら、薄手のトレーナーやら変なデザインの長袖Tシャツなんて2月25日導入で、4月の頭には処分してなくさないとゴールデンウイーク用の夏物半そでがもう全然売り場に並べられません。自分も仕事しているころ、春物で何度しくじったか。マーチャンダイザー(MD)やバイヤーが悪いんですが・・・。

試しにL.L.Beanを見てみましょう。はい、売り場は全部冬物です。薄手のハイネックシャツなんかほとんど定価で売っていますし、あの色目なら自分も1枚欲しいくらい。厚手のカジュアルジャケットや厚手のチェック柄シャツがこなれた値段に値下げされてどどっとあります。ヨーカドーのあの広い紳士カジュアルの売り場の売り上げと、売り場が狭くて詰め詰めに並んでいるL.L.Beanと、今月の売り上げはほとんど変わらないのではないでしょうか。

他にもタオルが10色もそろって選べるのはいいけれど、隣のトイレカバーやマット、はたまたカーペットとコーディネイトできない。「無印良品」みたいに全部同じ色目でそろえることが出来ないのです。選ぶ楽しみなんかありゃしない。悲惨なのはカジュアルシューズコーナー。もう20時近くてお客もいないのに、売り場全員で「いらっしゃいませ」と大声を上げています。たぶんよほど売り上げが悪くて怒られたんでしょう。でもあんな声で呼ばれたらかえって売り場に行きにくい。そもそもABCマートに勝てるわけがないのになんで自前のカジュアルシューズショップなんか作ったんでしょう。しかもオープン当初からチラシも気合が入っていただけに哀れみを感じます。

お客様の声を読むと、「ベンチをどかしてワゴンセールをしないで欲しい」という声に「お客様の支持があるのでワゴンセールは続けます。ベンチは、数は減らしておりません。」というとぼけた返事を支配人がしていました。もうぶちきれて、投書しました。最初は客の通る一等地にこぎれいにベンチを並べるのに、それをどかしてワゴンセールをやったり催事場にしたりするのは客が望んでいるのではなく店の都合です。売り上げ欲しさの悪い癖です。住所と名前を書いてきました。反応はあるでしょうか。

専門店モールのひどさは、さまざまなブログでいわれている通りです。狭い。あんな狭いHMV他にないんじゃないでしょうか。よく出店しましたね。コムサは普通ファミリーで展開するのに、レディース&キッズとメンズが分かれてしまっているのでボリューム感がないし、なにしろコムサの店らしくない。コムサを展開しているファイブフォックスという会社は、売り上げが悪ければ違約金を払ってでも退店すると社長が言ってますし実際にそうしています。

専門店モールは、誰をターゲットにしているのかわかりません。呉服屋さんが入っていますがイオンのモールには絶対無い光景です。呉服屋さんは固定客を持って固い売り上げを取るので、ショッピングセンターのテナントとしてはおいしいけれど、それを入れると、ターゲットがぼけるんです。「ヴィレッジヴァンガード」はあの悪条件にして、それらしい売り場を作りこんでいるのはたいしたものだと思います。さすが話題の店だけのことはあります。

カフェも変なところにあるし。なんでL.L.Beanのとなりでパスタ食べなきゃならんのか分からないし・・・。

最後にとどめ。1階のフードコート。なんじゃありゃ。どこかの社員食堂みたいに1列20人分くらい長ーくテーブルが並んでいます。しかも自分のグループの焼物屋ぽっぽが他のテナントの2倍以上面取りしていますよ。何が悲しくて、せっかくの休日に399円のまずいラーメンをあんな長テーブルで、まるでブロイラーのように食べなければならないんですか。ミスタードーナツでカフェオレを頼んだら、紙コップですよ。おかわりするにはあのカウンターまでのこのこ出かけていかなければならないんですよ。あほくさい。

ひどいひどいと言われていたアリオ。蘇我もさんざんにブログで書かれて、川口もこの惨状。札幌も亀有も他も全部ダメだろう。長々と書いた紳士衣料ですが、スケジュール的には多分もう夏物も作っているはず。品揃えを根本的に変えるとしても秋からでしょうが、それまでにだれか幹部がこの末期症状に気がつくでしょうか。

イトーヨーカドーの大企業病は重症、いえ重態だと思いました。みんな上役しか見ていない。そうでなかったらあそこまで客を無視できますか?あのわけの分からん持ち株会社のシンボルをグループ企業の店の看板すべて(デニーズまで・・・)につけかえられますか。背筋が寒くなりました。

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コメント

アリオはホント、ダメですよねー。私もヴィレッジヴァンガードにしか寄りません。でも近いので毎週行ってしまうのですが。

新しいカジュアルブランド、ホントに売り場で浮いた存在ですよね。冬物が何もなかったのには、私も愕然としました。

投稿: みぽち | 2006/02/09 09:12

もう二度と行かないかもしれないと思ったアリオですが、ここまで辛口でやられちゃうと、なんだか逆に見に行きたくてたまらなくなってきます。悪い趣味ですね。

うちのほうまではアリオのちらし、入ってこないんです。代わりにイトーヨーカドー浦和店のちらしで、新ブランド「pbi」がどんなのか見てみました。A3判8ページ、たぶん、売り出しの内容が違うだけで、ほぼ同じものなのかもしれません。

写真の発色がよくないなあ……デザインも散漫でつまんない……うーん、なんともぱっとしない。なにを見せたいのかわからない。もったいないですね、これだけの資源とお金を使って、あまり効果のないちらしになってるような気がします。

このオリジナルブランド、元伊勢丹のカリスマバイヤーで、福助再建をも手がけた藤巻幸夫氏による鳴り物入りの企画だそうです。「ワールドビジネスサテライト」でたしか2回くらい大きく取りあげられていたのでよく覚えています。

乱雑なだけのワゴンセールや何を目立たせたいのかわからないPOPの乱発など、これまでの売り場の惨状をひとつひとつチェックして改革するということで、番組を見た限りでは、ちょっと楽しみにしてもいいのかもという印象をうけました。

いざふたを開けてみれば……なるほど、そういうことですか。いまわたしはセーター2枚重ね着してこのちらしを見ています。なんというか、スーパーの衣料品ってもっと身近な、今すぐ着るぞってものが求められているんじゃないのかしらん。まあ、そういうイメージを改革したかったのかもしれませんが……。

そのほか専門店モールや飲食店関連のことも、なんちゃんさんのおっしゃること、いちいち腑に落ちます。同時に、やはりなんちゃんさんの流通業に対する目とそれを伝える言葉の確かさを感じ、商業記事復活なさってよかったな、と思いました。

長くなってごめんなさい。こんな長いのがいつものように二重投稿になったら相当うざいぞって思いつつ。祈りながら投稿します。

投稿: わさび | 2006/02/09 18:00

お返事がおそくなってごめんなさい。先ほどからようやく回復して、食べ散らかしたごみや使いっぱなしの食器などを洗い始めました。

○みぽちさん
ヴィレッジヴァンガードはおもしろいですね。自分は神保町の店しか知らなかったのですが、限られたスペースであの独特のテイストを十分に醸し出しているのには脱帽でした。

○わさびさん
自分も次の日に赤羽のヨーカドーヘ行ったのですがチラシは一部を除いて同じものでした。千住もあのチラシらしいので、ほぼ全店あのチラシが入っているようですね。

多すぎるPOPやワゴンセールの改革はマイカルでも10年ほど前から取り組んでいます。売り上げが低迷するとすぐ元に戻ってなかなか徹底しないのがサティの悪い癖でしたが・・・。

>まあ、そういうイメージを改革したかったのかもしれませんが……。
おっしゃるように総合スーパーが低迷する中で、一発逆転ホームランを打ちたかったのでしょうが、それはニチイがサティになった時「今までのお客さんとは違う人を相手にするんだから品揃えを変えなくてはダメ」といって売れるものをはずして見た目だけの品物を並べて大失敗した時とそっくりです。あの時は売れない商品の処分に3年かかりました。お客さんを選べると思うのが大きな間違いなんですよね。詳しくは続編を書きますのでご覧ください。

こんなに反響をいただけると、いよいよやめられないですね、商業記事・・・。

投稿: なんちゃん | 2006/02/14 04:23

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