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2005/12/08

外資系スーパーが失敗するわけ

カルフールといい、ウォルマートといい、何で日本では見当違いな売り場作りをするんでしょうか?その原因が今年の出来事の中でちょっと垣間見られた気がしています。

ウォルマートの本拠アメリカでは、ハリケーンによる洪水で多くの貧困層が街に取り残されてしまいました。被害が及ぶのが分かっていながら、脱出できなかった人たち。その多くは黒人系や移民系のように見受けられました。カルフールの本拠フランスでは移民の2世3世が、就職難と差別のために暴動を起こし非常事態宣言が出されました。履歴書に移民が多くすむ郊外の住所を書いただけで、求人企業はその履歴書をはじくそうです。

カルフールもウォルマートも低所得者向けの品揃えで業績を伸ばしてきた企業です。日本ではそこまで階層分化が進んでいませんから、一般の消費者のイメージは「安物しか置いていない」となるわけです。しかも先日西友の川口本町店で買い物して見ましたけれど、大きな値札ばかり目だって商品の良さがちっとも見えないんです。店を出る時には数字ばかり印象に残って商品のイメージがほとんどない。しかもジャスコで買い物したほうが品揃えもよく、安いです。あれでは苦戦するわけだと思いました。

日本進出に当たっては綿密なリサーチをしているはずなのに、なぜ本当の顧客層を見失うのでしょうか。

日本でも所得の2極分化が起きているといわれますが、自分の実感として所得の少ない人ほどコンビ二やファーストフードを利用する割合が高いように思えます。そして諸外国ほど所得格差はないというのが実感です。日本では「カトリーナ」なみのハリケーンならぬ台風が全国どこを襲ってもニューオーリンズのようなひどい事態にはならないでしょう。阪神淡路大震災の時でさえ食うや食わずという人は少なかったと思います。ところが統計上はどんどん所得格差が開いているらしいのです。なぜか。

ここで面白いところに着眼した人がいます。11月3日の日経新聞で紹介されていたのですが、大竹文雄さんという経済学者がその著書「日本の不平等-格差社会の幻想と未来-」で明らかにしているのは、「高齢化」が統計上の不平等に大きく影響しているということです。高齢者の経済格差はほんとうにすごいです。年金でかつかつの人もいれば、夫婦の年金で毎年海外旅行をしている人も、一財産作って生涯安泰の人もいます。こうした高齢者の比率が人口の中に占める割合が高くなってきたことが、結果的に国全体の統計上の不平等の広がりに結びついているという分析です。

もちろんパートと正規社員の賃金格差など広がっていることは確かです。しかし既存のスーパー以上の安売りを実態として求めるほどではないようです。ダイエーが失敗したのはコスト削減のために価値のあるものまで安っぽく見せてしまったことが原因だと思います。イオングループがバリューという言葉にこだわる(企業商品の「トップバリュー」や店名の「マックスバリュー」など)のは、日本の消費者が安物ではなく価値あるものが安い、いわゆる「お値打ち品」を求めているからだと思います。外資系のスーパーはそのあたりの分析ができていないと思わざるを得ません。お値打ち感の演出もきわめて下手です。今の西友はコストをつめすぎて、以前のダイエーみたいです。

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