侮辱です。
検索にひっかかると、あまり望まないトラックバックやコメントが来そうなので、あえて名前を伏せて書きます。
11月23日付けの日経新聞によると、連続幼女殺害事件のM被告の弁護側は
被告が拘置所で向精神薬の継続的な投与を受けていることから「統合失調症を前提とした治療が続いている」と指摘。「犯行時から慢性精神疾患だったことは明らかで完全な責任能力を認めた一、二審判決は誤り」などとして、改めて精神鑑定するよう求めた。
とのこと。とんでもない侮辱です。統合失調症だろうとなかろうと人間として扱うなら病気による「責任能力の有無」なんてことは考慮する余地の無いことです。これではまるで統合失調症患者は責任能力がない=人間ではないと言っているようではありませんか。
いわゆる一般の人が理解に苦しむような犯罪が起こると、裁判で弁護側は「精神障害による責任能力」を理由に挙げて無罪を主張します。毒物をまいたカルト教団の代表だったA被告にいたるまで「精神障害」をもちだす弁護士の倫理というのはどうなっているんでしょうか?
大阪の小学校で起きた悲惨な事件では、犯人は当初「精神障害者」の振りをしました。「薬を飲んだら暴れたくなった」という見当違いも甚だしい当初の自供を聞いて、多分多くの人が不思議に思わなかったでしょう。こんな犯罪を犯すのは「精神障害者」に決まっているという思い込みがちまたの人にあったのです。当の犯人も「精神障害者を装えば刑に問われないと思った」と供述したそうです。こんなことの繰り返しが精神障害者はもとより精神科に通院する人に対する差別や偏見につながっているのははっきりしています。
人権を守るべき弁護士が、たとえ刑法がそうなっているからといって安易に「精神障害」を魔法の剣のように振り回すのはまったく矛盾も甚だしいです。一人の被告の人権のために多くの精神障害者の人権を踏みにじることが許されるのですか?こんな刑法はおかしいとみんなが声を上げるべきではありませんか。
「べてるの家」鳩ヶ谷雑記: べてるの家.では統合失調症の人が幻聴さんのおかげで窓ガラスを割っってもきちんと責任を取らせていますよ。実費弁償です。そうすることが人間性を回復することなのです。一人の人間として生きるということはそういうことなのです。精神疾患の有無で重大な犯罪の罪を裁くなんておかしい。とってもおかしい。
統合失調症は古今東西、人種や文化を問わずおおむね100人に一人普遍的に発生する病気です。こんなこと看護学校でも教えてくれるそうですよ。日本の人口の100分の1、100万人が何か犯罪を犯したらみんな責任能力を問うんですか。ね。おかしいでしょう。
刑法を改めるべきことが望まれますが、それ以前に弁護士のこの手の犯罪における人権意識が問われると思います。そして最高裁は法の下の平等を謳った憲法にてらしてまったくおかしいこの刑法規定に対して違憲判決を出すべきだと思います。
基本的人権を尊重してください。
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コメント
刑法には、「いんあ者の行為はこれを罰せずまたは刑を軽減す」という条文が、わずか10年ほど前までありました。いんあ者とは、聾唖者のことです。耳の聞こえない者、口のきけない者は、当然に、正常人と比べて判断能力が劣るという驚くべき差別的な発想です。
心神耗弱・心神喪失についても同様な問題があると思います。刑法の規定自体も問題ですが、さらに問題なのは、裁判になる以前に、検察の時点で精神鑑定をし、強制入院が行われていることです。起訴すらされないので、被害者や社会も納得がいかないし、加害者も公開の裁判を受けて罪を償うチャンスを奪われてしまっています。
投稿: nog. | 2005/11/28 22:55
NOGさん、こんにちは。
こういうことを考える以前から「精神鑑定」というのがうさんくさいと思っていました。精神とは心といっても良いと思うのですが、そのどこを捉えてどう解釈するのか。その結論しだいで罪を償うという権利義務がいとも簡単に奪われるというのは驚きです。
でも、自分はうつという病気を与えられなかったらそんなことにすら関心を抱かなかっただろうと思うと、本当に病気が視野を広げてくれたなと思います。
投稿: なんちゃん | 2005/12/01 19:54