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2005/10/06

御用聞きと宅配

国勢調査の調査票に同封されていた埼玉の人口ピラミッド図(少子高齢化でピラミッドになっていませんが)をしげしげと眺めて思ったことがあります。昭和40年代から50年代はGMS(総合スーパー)の隆盛期でしたが、この時代はいわゆる団塊の世代が人口の中心を占めていました。物も十分に行き渡ってはいませんでしたのですごく購買力があって、自分の勤めていた時代の上司(店長クラス)は「自分が現場にいたころは特売で商品をワゴンに出そうとするとその段階でお客さんの手が伸びてきてまるで空中販売のようだった」なんていう人もいました。それが前回の国勢調査では団塊の世代が50代にそっくり移動して、今まで団塊の世代が占めていたところに自分たち団塊ジュニアがいるわけです。自分たちはすでにものの有り余っている時代に育っていますからライフスタイルとか好みのテイストがはっきりしていて、お金が無くても一点豪華主義でこだわって物を買っています。自分も食品以外の買い物はほとんど専門店です。この人口の二つのピークを両方押さえているのが、今隆盛している郊外型ショッピングモールですよね。団塊の世代はGMSが、われわれより下の団塊ジュニアは専門店モールが相手をしているわけです。そういう意味では郊外型ショッピングモールというのは理にかなった商業形態なのかもしれません。

ところで団塊以上の世代はどうしているのでしょう。外に出るのが苦にならず、お金もそれなりにあれば三越みたいな老舗百貨店で買い物するかもしれません。それとこの世代が昔地元の商店街を支えていたんですよね。今商店街が軒並み元気が無いのは、自分たちの中心顧客が高齢化していることに商店主自身が気がついていないことがあるのではないでしょうか。駐車場があれば若い人が買い物に来るかといえば、そんなことは無いでしょう。魅力がある店には駐車場なんか無くても買い物に行きますよ。むしろ商店街の主要顧客は高齢化で足腰が弱って、買い物に行くことそのものが億劫になっているというのが実態だと思いました。

昔は共働きが当たり前でした。あるいは家事そのものが忙しくてゆっくり買い物に出ている暇がありませんでした。そこで商店はお客さんの所へ自らでかけて商売をしました。豆腐売りのラッパの音、懐かしいですね。野菜も売りにきたし、落語なんかを聞くと昔は風鈴や金魚まで売りに来ていたことが分かります。それが高度経済成長で家電製品が普及して所得も上がったせいで専業主婦というのが登場したんだと思います。最近思うのはあのバブルまでの右肩上がりの時代というのが歴史的にはきわめて特殊な時代だったのだったということです。年功序列、一億総中流というのは高い経済成長があったから実現しえたのであり、低成長になった今、みんなに平等にお金が回るということが不可能になった、それで所得格差が開いてきたというのが実態ではないかと思えます。

少し脇にそれました。今商店街はまたじぶんからお客さんのところへ出かけていくことが必要なのではないでしょうか。御用聞きと宅配です。何度も紹介しているべてるの家ですが、かれらの請け負っている仕事の中に宅配事業があります。人口1万5千人の過疎の町とはいえ浦河は日高支庁の中心地であり道庁関連の施設や気象台もあります。そういう中で、オムツ一個から宅配するべてるは町に無くてはならない存在になってきています。本屋さんから役所へ本を宅配したり、さまざまな宅配を請け負っているのです。従来商品1個の宅配というのは人手とコストがかかり嫌がられたものでした。でもべてるは利益が出なくてもやってくれますから商店からもお客さんからも感謝される存在なのです。

これも前に取り上げたスワンベーカリー。東京、北区の十条店は立地がよくなくそのままではお店の運営は困難と思われました。しかしここも宅配で活路を開きました。宅配セットなるものを作って近所に声掛けをし顧客を増やしました。宅配セットは週1回届けることになっています。一回625円で一ヶ月2500円。PRもかねて季節の便りとパンの解説を同封しています。それが楽しみでパンを買うという顧客も多いといいます。(「はばたけスワンベーカリー」汐文社)それ以外にも戸田にあるヤマト運輸の大きな流通センターへお昼には出張販売に行きます。

それでも1個から宅配というのは個人商店には時間的になかなか難しいものかもしれません。たとえばこういうのはどうでしょう。商店街で協力してお互いの商品を一度集約してから地域別に配達するのです。コンビニエンスストアの生まれたころは発注単位が多すぎて店に大量の在庫を抱えざるを得ませんでした。それを多店舗化し、流通センターに商品を集めてから個店に配送するということで解決してきた歴史があります。同じことをやれないものでしょうか。

宅配需要は高齢者だけでなく共働き世帯にもあります。自分の知っている共働き世帯のうちいくつかは生協の宅配を利用していますが、100%満足というわけではないし、生協で扱っている商品にも限りがあります。商店街が共同して御用聞きと宅配をしたらかなりの効果が上がるのではないでしょうか。以前ご紹介した千葉県銚子のとあるセブンイレブンはやはり立地が悪いのですが、御用聞きと宅配、さらにセールス上手で、今年の節分の恵方巻き売り上げ全国一を成し遂げています。

本当は鳩ヶ谷でも街の為に商店街がもっと力を出さなければならないのですが、残念ながら中心商店街はその活力をすでに失ってしまったように見えます。歯抜けのようにマンションになっていくさまを見ながらいつも「何とかならないものだろうか」と思ってしまいます。

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