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2005/10/03

温泉とアートと朝ドラ

大分県の湯布院町。10月1日から下流の庄内町や挟間町と合併して由布市になりました。もともと由布の地名は別府と湯布院の間に高くそびえる由布岳にちなんだもの。湯布院という表記は由布院と湯平町が合併したときの合成地名だそうですから、もとの表記に戻ったことになります。しかし旧庄内町や旧挟間町は県庁所在地であり商業と工業の街大分市とのつながりが深く、今まで農業と観光と自衛隊駐屯地という比較的閉じた産業構成だった町は、大分への通勤通学者のベットタウンとしての性格も持つことになります。

湯布院は温泉地として名高く、「敬老の日に親にプレゼントしたい温泉旅行は」というアンケートに全国2位という結果(8月の日経新聞土曜日)も出るほどの人気。そして今日10月3日からはこの湯布院を舞台としたNHKの朝ドラ「風のハルカ」がはじまりました。しばらくは普段にも増して観光客が増えることになるかもしれません。

湯布院は温泉地であるとともにアートの街でもあります。JR由布院駅にはアートホールが併設され、列車待ちの人が待合室代わりに使っています。このほか由布院美術館をはじめ11のアート施設が町内に点在しています。

由布院美術館には自分の知人がいます。自分が一時福岡の八女に住んだきっかけになった、ある大学の先生の関係でお知り合いになった方で、館長の娘さんと結婚されて今はすっかり湯布院の人になっています。その先生の企画で美術館の中にも温泉風呂がありロテンナーレと名づけられていたのですが、今は足湯として使われています。九州に行くときはだいたいこの方を訪ねて湯布院に一泊することが多いです。

一泊するときの宿は決まって湯布院ユースホステル。ここは高台にあって喫茶室から湯布院の町を一望できます。もちろん風呂は温泉でささやかながら岩風呂になっています。清潔でとても気持ちのいいユースで、自分が泊まったことのあるユースの中では3本指に入るところです。ペアレント(経営者)さんはご夫婦とも大分出身で、ノウハウは美山ハイマートユースホステル(京都府)で教わったそうです。美山ユースは自分はとまったことがないのですがかなりハイレベルのユースなのでしょう。湯布院ユースは現在じゃらんネットで予約することもできます。会員価格より1000円高くなりますが、一室借りすることができます。相部屋がいやな人でも大丈夫。ペアレントさんの手が空いたときは食後下ん湯という名前の露天風呂へ連れて行ってくれます。

さて先月九州を訪れたときも湯布院に立ち寄りました。駅のアートホールでは柾木高さんという大分の中津出身の画家さんの個展が開かれていて、なんとユースにはそのご本人が宿泊していました。アートフォーラムの講演と関係者との懇親会のために湯布院を訪れておられたのです。柾木さんの作品は鋭いタッチの幻想的な作品で、アートホールの外から窓越しに見てもその魅力に惹きつけられるようなところがありました。

翌日は台風が近づいており、強風のため由布院美術館を見学することはできませんでした。館長の娘さんが台風に備えて建物の戸締りなどのために来ていたのでひとしきりお話した後駅のアートホールへ。アートホールでは柾木さんと、やはり自分が八女に住んだことで知り合いになったアートホールの職員、恒吉さんがお話をしていたので輪の中に加えてもらいました。湯布院でのアートのありかたについて、柾木さんは「湯布院の小さな美術館でマティスをみたって仕方がない。むしろ湯布院でなければ見られない作品を集めるべきだ」とのこと。ちょうどマティスの特別展をやっていた美術館があったのですが、「マティスなんか東京へ行けば、ニューヨークへ行けば膨大なコレクションを見られるのに」とのこと。確かに何度も訪れている自分は由布院美術館で扱っている佐藤渓の作品にだんだん惹かれるようになりました。佐藤渓は国内各地を放浪しながら絵を描き(川口に住んだこともあるそうです)湯布院で没した画家です。あまり知られていなかったこの画家に光をあてたのは、美術館の館長高橋さんでした。美術館の建物はユニークな建築で知られる象設計集団の設計です。象設計集団は埼玉でも宮代町の小学校を設計しており、そのユニークな建物は多数の見学者を呼んでいます。

さらに湯布院の街づくりについて2人の話は続きます。温泉地として全国的に有名になった湯布院には、地元のネットワークとは無縁な、お金を稼ぐだけの観光施設や旅館などもできているそうです。こうしたところがせっかく来てくれたお客さんに悪いイメージを植えつけないか、とても心配していました。朝ドラがさらに観光客を連れてくるとなると、ますます外からの業者が入り込んでくるかもしれません。また下流2町との合併についても、「大分に目が向いている人たちが湯布院に関心を持ってくれるのか」との感想でした。

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