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2005/10/19

デイケア初日

先日書いたデイケア施設へ通うことが決まり、今日初日を過ごしてきました。わが「あばら家」から1時間、10時からということで終わりかけとはいえラッシュ時の電車を乗り継いで行きました。普段はいいけれど、調子の悪い日にあの混雑はちょっと厳しいかな・・・などとも思いつつ。

32条の患者票を持参したので、受付の事務の方と少しやり取りがあって10時を回ってしまいました。部屋へ入るとちょうど皆さんラジオ体操が終わったところでした。最初はまったくはじめての人たちの中で戸惑い、緊張しましたが、隣にいた若い男の子が自分と同じで今日初日と分かってからはだいぶ楽になりました。午前中はビンゴゲームを全員でやり、お昼を食べた後、午後は二つに分かれて卓球とボーリングをしました。ん、ボーリング?そんなに広いのかと思ったあなた。いやあそれほどの広さではありません。なんとペットボトルに少量の水をおもり代わりに入れたものがピン、ボールはバレーボールでした。レーンはキットと化している木製の棒で囲って出来上がり。ピンを並べるのは次に投球する人の役割です。楽しみながらも皆が役割を担えるという、よくできたレクリエーションだなと思いました。スコアを黒板に書くのも皆さん手馴れていて面白かったです。

さて、自分は患者ではありますが、同時に将来こうした患者さんの援助を仕事にしようとしています。ですから時間をゆっくりと楽しみつつ、看護師さんやドクターのかかわり方、患者さんの様子もきょろきょろと見ていました。当たり前のことですがやはりすごいなと思ったのは、スタッフ全員が患者さんの名前と顔を一致させていることです。初めての自分たちの名前も完璧です。これは当たり前にしてしかしとても大事なこと。精神疾患の患者さんは人間関係で傷ついているケースが多いことは何度も書きました。ですから自分の名前を呼ばれるというのは存在を認めてもらえているような気がしてとてもうれしいし自信になるのです。名前で呼ばれないということは怪我をした人が傷口を包帯の上から足で踏まれるのに匹敵します。

徐々に慣れてきて元からいる患者さんが話しかけてくれるようになりました。ある方はもうこのデイケアに3年通っていて、今は週3日作業所で仕事をしているのだそうです。その仕事を聞いてびっくり。3足組みの靴下で上にフックにかけるためのつまみがついているものがあります。それを手作業でつけるのだそうです。1個35銭!月収4000円と聞いて、すぐに故小倉昌男さんの顔が浮かびました。ヤマト運輸の創業者である小倉さんが精神障害者福祉に興味を持って財団を作ったり本を書いていたことを以前書きました。月収1万円というのにびっくりされていたのですが、彼の場合その半分にも満たない給与しかもらえていないのです。本で見聞きしていたことが現実の問題として自分の目の前にぶら下がっていました。

患者さんは年齢も格好もさまざま。言葉が少し聞き取りにくい患者さんから、自分と同じくらいはきはきしていて表現力も豊かな患者さんに見えない患者さんまで。集中力が維持できない人、頭痛に襲われて午後は部屋の隅に布団をしいて寝ていた人、寡黙だけれどリーダーシップをとるのが上手な人etc・・・本当にいろいろな患者さん。それぞれここに至るまでの過酷なエピソードを持っているはずです。おそらく入院したことや、自殺未遂をした事のある人は多いでしょう。家族や職場の人間関係でひどい目にあってきた人もたくさんいるでしょう。

これらの人々と、援助者としてではなく同じ患者として分かち合いができたりするのはなんとすごいことでしょう。学校を出たって絶対できない体験ですよ。前の日かかりつけ薬局の薬剤師さんにも言われたのですが、デイケアの体験そのものが自分にとって生きた実習です。気持ちはゆっくりと持ちながら、しかしその充実感に自分は小躍りしたくなるほどでした。

そんな感じで初日のデイケアが終わりました。最初の1ヶ月はお試し期間です。自分も、今いる患者さんもお互い納得できて初めて正式メンバーに加わることができます。目いっぱい楽しんで、また目いっぱいいろいろ吸収しようと決意を固めた帰り道でした。

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コメント

私の通っている病院の隣にもデイケア施設らしきものがあります。何をしているのかなぁと思ってたらそういうことをされてるのですね。なんちゃんさんは苦しい中にも将来の展望が見えているのですね。なんだか伝わってきました。私はまだだなあ。今日も先生からちらっと入院の話が出ましたが、薬を変えてみて様子見ることになりました。なんちゃんさんの入院しても一時的に環境を変えても・・・というアドバイスも一理あるし。ま、様子を見て決めようと思います。

投稿: mamalaid | 2005/10/20 18:48

なんちゃんさん、先日はメールありがとうございました。

同じ病気でも全然違う状態の方がたくさんいらっしゃいますよね。
そして、得意・苦手なことも異なったり。
大変なときを乗り越えられているんですよね...敬意の念を送らせていただきます。
また、利用者の方から考え方を学んだり、
多くのことを勉強させていただいていると日々感じます。

PSWもお手伝いはできますが、人間関係の修復はやはり
利用者の方の交流が大切で、状態や病気の異なる
利用者の方同士が相手を思いやり、助け合っていらっしゃる
様子を拝見していると、利用者の方も援助者なんだなぁと思います。

投稿: がちゃぴん。 | 2005/10/21 22:05

コメントありがとうございます!

○MAMALAIDさん
将来の展望・・・うーん。まだこれで100%いけるかどうか分からないのですけれどね。仕事をやめた当初は簿記を勉強してゆくゆくは税理士!とか、シスアド勉強してプロジェクトマネージャー!とか、いろいろ考えていました。病気ですごしている時間は無駄な時間で、その分勉強して取り戻そうという意識だったのです。今はそういう勉強自体が自分を追い詰めると気づいて、隣の人の助けになりたいと思っているのです。

主治医が入院を勧めるのであればそれもありだと思いますよ。入院はメリットもデメリットもあるので主治医も訳なく進めることは無いと思うのです。ただ入院はやはり一時避難の場所だと思います。

まあ、時間はあるからゆっくり考えれば良いと思います。

○がちゃぴん。さん
患者さん同士も援助者足りえるというのはそのとおりだと思います。スタッフですべて補いきるのには人数も多いし、むしろ患者さんは患者さん同士の交流の中で何かを見出していくのだと思います。それは学校での先生と生徒の関係にも当てはまりますね。生徒同士のつながりが最後には頼りになっていくこともあるので・・・先生というのも子ども達の援助者でしかありえないのだと思います。

しかし、皆さんが大変なときをすごしてきたんだろうなと自分も感慨の念に打たれます。いろいろな状態の患者さんがいますけれどきっとナイーブであるがゆえに病気という形で体が「無理」という意思表示をしたのかななんて想像したりします。

投稿: なんちゃん | 2005/10/22 14:11

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