トイレを磨く
昨日書いた怒りはまだ沈静化しません。ここはぐっと自分をこらえる時期だなと思います。
ここのところ体の調子が大変良く、部屋の掃除に力が入っています。最初は掃除機をかけるだけで精一杯だったのですが、先週くらいから雑巾がけをするようになりました。狭いアパートの一室ですからやる気になればわりと簡単にできるのです。そして毎日やっていると、最初は本当に見えるスペースだけだったのが、今日はここをやろう、と言うように発展していくのです。料理もそうみたいです。自炊でいつも同じようなものしか作れなくても、毎日やっていると、「今日はこの野菜をいれてみようか」とか「味付をこんな風にしてみようか」とか思うようになり、だんだんそれがバリエーションにつながっていくのです。主治医にこんな話をしたら一緒になって喜んでくれそうです。
さて掃除で一番の難関がトイレでした。トイレはやはりかなりの抵抗感がありました。普段自分の排泄物を全部受け止めているところですから、そこに触るだけで「穢れ」るような気がするんです。でも部屋は狭いしやるところは限られている。自分は取り掛かりました。その結果不思議な感情がわくようになりました。トイレを磨いてきれいにすると満足感が違うんです。不思議と優しくなれるんです。気持ちがおとなしくなって謙虚になれるんです。はじめの時の「穢れ」に対する抵抗感なんかどこかへ行ってしまうのが本当に不思議です。
トイレを磨くことが出来るようになると、外出して、電車に空き缶が転がっていたりする時本当に自然に手が伸びて、拾ってゴミ箱へもって行くことが出来るようになります。自分のごみとか他人のごみとかそういうことは超越してしまうんですよ。
評判が悪かったので見ておられた方は少ないかもしれませんが、NHKの朝ドラで「ほんまもん」という池脇千鶴主演のドラマがありました。亡くなった父の仕事を引き継いで自分が一流の料理人になるという決意で精進料理を学ぶという筋なんですが、修業先でヒロインがまずやらされるのがトイレ磨きなんです。それも何度もやり直しさせられます。あれはトイレを磨いているようで、実は自分の心根を磨いているんだと思います。
そういえば、自分の以前勤めていた会社は創業当時、家業で小売をやっていた4人が一緒にやりましょうということで起業するんですが、その前にみんなで修行をしたそうです。それが、今でもそういう風習が残っているのか分かりませんが、京都の町家を一軒一軒訪ねて、トイレを磨かせてくださいと頼むんです。そういうことを受け入れる風土も京都にはあったようです。そうやって謙虚な気持ちをはぐくんでから小売と言うお客様相手の仕事をするわけなんですが、それを提案した人はすごかったと思います。小売はお客様だけが相手ではなく、取引先も大事にしなければ成り立ちません。常に謙虚な姿勢が求められる仕事なんです。この話は多分古い社員は知っていると思うのですが、会社が大きくなってから入った人は殆ど知らないでしょうね。一応冊子があってどこの店の従業員休憩室にも置かれているはずだったのですが、たいていなにかの折になくなってしまうようでした。そういう体質の会社になってしまった、その先と言うのは推して知るべしですよね。
最近聞いた話ですが、主婦が旦那に小用を座ってさせるうちが増えているとか。男性の小用は飛び散るんですよね。自分でトイレ掃除するようになってはじめて分かりましたが、トイレが黄ばむ原因はあれしかない。
今、うちのトイレの黄ばみを年内にすべてきれいにするのが自分のひそかな目標になっています。
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コメント
こんにちは、お久しぶりです。時々遊びに来てますよー。
トイレで反応してしまいました(笑)。そうそう、トイレ掃除は夫の役割というところもあるみたい。自分で掃除するようになったら、なぜ汚れるのか分かって自然に座ってするようになるらしい(笑)。
まさに、なんちゃんさんですよね。
京都のトイレ磨き。私はここまで謙虚に商売しなくても良いと思いました。
投稿: AYAKO | 2005/08/24 22:19
AYAKOさん、いらっしゃいませ。コメントありがとうございます。
やはりそうですか。自分で掃除するとなぜ汚れるのか、実感として分かるんですね。まあ、トイレと風呂は夫の役割ですかね(^^)
京都の話は、謙虚さと言うこともあるのですが、4人が同じ修行をすることで連帯感を強めようとした部分もあるようです。そういうちょっと変わった修行でもこなせると言うことがお互いの信頼感につながった部分もあるのでしょう。共同で起業するとなると「相手をどこまで信頼できるか」という部分もありますから・・・。
投稿: なんちゃん | 2005/08/27 03:46