« 口コミ病院情報 | トップページ | 労働組合 »

2005/05/26

サンガレンの奇跡

今日(25日)の日経夕刊1面の「あすへの話題」と言う欄に「サンガレンの奇跡」と言うタイトルで上智大教授の猪口邦子さんのコラムがあります。この話に思うところがあって取り上げて見ました。まず記事を引用します。


 民間主導の国際会議としてはダボス会議が有名だが、次世代との対話を目指す大規模な国際会議が毎年5月、スイスのサンガレンというチューリッヒにほど近い街で行われる。世界各地から政治家、企業家、研究者らが集まり、60カ国から選抜された大学生も討議に加わる。主催はサンガレン大学の学生有志の組織だ。
 (中略)
 先週その会議が開催された。緊急任務の合間に駆けつけたNATO(北大西洋条約機構)事務総長など、要人や企業トップが軒並み参加していた。閣僚らは演説のあとも場外で学生と延々と議論を続ける。完璧な背広姿で鋭い議論を投げかけ、来客の案内もする学生たち。高級車で送迎するので、車について尋ねると無料でメーカーが提供したという。莫大な会議運営費も欧米の主要企業が賄っている。
 若い世代を信頼し、支援し、深く受け止めることがもたらす奇跡を、サンガレンで見た。学生たちは己の限界を突破し、信頼と言う陽光を浴びて輝き、世界を相手に勝負し、未来に雄飛する力を蓄えていく。まだ無名の彼らのために、人間社会が与えうる最高のものを与えようとする人々。そこには匿名にして偉大な物語があった。
 サンガレンの起源の修道院は、学びの場として九世紀初頭に300人の生徒を擁していたという。末裔たちは経済を振興し、世界初の商工会議所はこの街に生まれた。千年を越えて繁栄し続ける街。次世代を抱きしめる情熱が千年続いた奇跡を見た。


どう思います?日本では想像も出来ないような話ではありませんか。企業経営者も政治家も一般の人たちも学生のことは馬鹿にしているし。今や大学院生でさえ企業は信用しないでしょう?なにせ「教授の教え方が悪い」と平気で言ってのける院生も増えているというし、確かに学部となんら変わらない大学院が増えているようです。モラトリアムが伸びるだけ。

ここで先日箇条書きした本のうち、「あなた自身の社会__スウェーデンの中学教科書」を取り上げてみたいと思います。世界に羽ばたく学生を作る為の0.01%ぐらいのエッセンスがここにあるような気がするんです。

この本自体は今友人に貸し出し中で、メモしかないんですがいきます。これは社会科の教科書なのですが、日本で言う社会科と生活科を一緒にしたような中身なのでは?と思います。まず第一章が法律と権利について1:私たちの法律、2:犯罪、3:警察、4:裁判所、5:無益な暴力、6:犯罪者更生施設と続きます。私たちが社会科でやった三権分立とかそういう小難しいことよりも、自分たちの生活の中に法律がどのような制約と保護を与えているか、法を犯すとどうなるか具体的に書いてあるのが特徴です。

第二章はユニークな内容であなたと他の人々という章立てになっています。1:グループについて、2:何者かでありたい、3:役割と役割間の葛藤、4:私たちには自分で思っているより能力がある、5:女の子と男の子、6:若者とアルコール、7:若者と麻薬、8:建設的な生き方がある、ときます。私たちがホームルームか何かでてきとーに流されながら聞いていたことを科目の中にしっかりと位置づけているのです。5ではもちろん恋愛やキス、セックスのことも書いてあります。悩みがあるときの相談先まで書いてあります。

第三章はあなた自身の経済です。1:家族の経済、2:物を買う、3:消費者情報、4:クレジットで物を買う、5:広告は購買意欲を誘う、ときます。タイトルだけ見ても具体的ですよね。ローンや金利のことまで書いてあります。

第四章はコミューンとなっていて、地方自治についてというのが近いかもしれませんが、日本にはない概念で項目だけ並べても分からないのではしょります。

第五章は私たちの社会保障です。1:スウェーデンの子どもたち、2:児童福祉、3:家庭での生活、4:離婚、5:病気になったら、6:たくさんの障害者がいる、7:特別な援助が必要なこともある、8:老人になる、9:社会的安全のネット、と並びます。医療費や年金、失業保険のことなどがきちんと書いてあります。日本では年金のことを学校で学びません。だから年金に無関心だし、基礎知識でさえ専門家しか知らない、政治家ですら年金保険料を納めていない、それにもかかわらず老人には手厚い保障がされて、私たちの世代にはろくな物が残っていません。若い時は老人に都合のいいように年金のことなどあえて教えない、もっと言えば隠されていたと言ってもいいのではありませんか?制度があることを積極的に知らせず、費用が膨張してくると後付で切り詰めることばかり先行するのは、今の32条にかわる障害者自立支援法の趣旨にもあてはまるずるいやりかたです。

こうした生活していく(社会の中で生きていく)為の基礎知識を教えられるとともに、その制度についていいとか悪いとか考えさせる、あるいは討論させるような課題というものが項目ごとにあります。おそらく討論したり、自分の考えを述べたりすることで、人は自分と違う様々な考え方をするというのが分かってくるのではないかと思います。また、社会生活における権利義務を明確にすることでおぼろげながら「国とはこんなものか」と言う意識がわくのではと思います。そこから愛国心みたいな物も自然にわくのではないでしょうか。日の丸・君が代を押し付けたって愛国心なんか湧きゃしないよ。もっと生活に根ざしたところから隠さずに教えていかなければ・・・。

本来2つに分けるべき記事を一緒にしてしまったのでとてつもなく長くなりました。ただ中学校でこうしたことを教われる国の子は社会の中での自分の役割といったことにも早くから目覚めるのではないかと思いますし、だからサンガレンみたいなことが学生のうちに出来るようになるのではないかな・・・とちょっと思ったしだいでした。長文をお読み頂きありがとうございました。お疲れ様でした。

|

« 口コミ病院情報 | トップページ | 労働組合 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/60361/4281891

この記事へのトラックバック一覧です: サンガレンの奇跡:

« 口コミ病院情報 | トップページ | 労働組合 »