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2005/04/11

患者に寄り添う

先日のことですが、教会関係で連絡を取り合っている方から手紙をいただきました。彼女はミッション系の学校で教鞭をとられているのですが、親しくされている彼がいまして(彼とも連絡を取っています)、このたびめでたく結婚されると言う報告でした。

「めでたく」と書きましたが、その道のりは平坦ではないと思います。実は彼と言う人は「躁うつ病」をわずらっています。「躁うつ病」は「うつ病」と似ていますが、対処方法は全然違います。うつは落ち込んだり元に戻ったりの繰り返しなのですが、「躁うつ病」はその字のごとく「躁状態」と「鬱状態」が交互にやってきます。たちの悪いのはむしろ躁の時で、自分でも訳の分からないままハイテンションになって行動する為危険が伴いますし、高いテンションで人と関わったりするとそれが続かないので人間関係をぐちゃぐちゃにしたりします。彼はそのため自分と同じ頃から入院していまして、約1年経った先月退院できたのだそうです。それで、腰を落ち着けて2人で力をあわせて病気を治そうということで結婚を決断したのです。

手紙によると、退院したとは言っても彼の調子はあまり良くないようです。しかし「一緒にならないと何も始まらない」と思ったそうです。

自分は、この手紙には参りました。病気になったことのない人がそこまで相手のことを思って寄り添おうと思っているところが何しろ驚くことで、自分は病気にならなかったら精神福祉に関わるなんていうことは想像もしなかったでしょうし、患者の気持ちも分かってあげられなかったと思います。「うつという病気は、気を長~~くして、焦らずに取り組んでいかないといけない病気なのだと、最近ようやく実感しました」とのことですが、その実感を得られる所までいったのはたいしたものだと思います。

翻って自分のほうも患者に寄り添おうと思っている最中なのですが、ほんとに大変だなと思っています。「寄り添うといったってお前、自分が患者じゃないか」とおっしゃる皆様。それはその通りなのですが、以前も書いたいとこの件にさらに深く足を突っ込もうとしているのです。主治医は自分のためには「やめたほうがいい」と言いますが、友人に病気の経験者・理解者もいないらしく、家族も心配はするけれど理解者にはなれないようで、自分しかないかなと思っているのです。

前橋に行った日の晩、いとこからメールが来ました。「友人に『苦しい』とメールしたら、『気分転換しなよ』といわれた。元気な人に理解してもらうのは難しい」とのこと。自分が、経験の無い人に理解してもらおうと思っても難しいだろうと思う、と書くと「電話していいか」と言うのでそれから話を聞きました。

医者が「自分をほめなさい・認めてあげなさい」と言うのだけれど、自分には出来ないとのこと。自己評価が極端に低いのです。そして「お守り代わりにパラジクロロベンゼン(防虫剤ですか?)を持ち歩いている」と言うのです。これは自分も極端に悪い時には隠し持った薬を、飲まないけれどもいつでも飲める、と思ってはじめて落ち着けることはあります。よく分かるのです。でも「飲んでも気持ち悪くなって吐くだけだから」と話しておきました。なんでも「自分の為に会社を休むことは出来ない」と言うのはわかるとして「私なんかの為に労力を使わないで」というので、いろいろなだめたり、押し問答したりしながら2時間以上話し続けました。結局休ませることは出来ませんでしたが、やり取りを通して少しすっきりしただろうと思いました。

その後土曜日には「私のことなどどーでも良いですから・・・。こんな思いまでしてなぜ生きてんのか分からない。早く消えてなくなりたい」とのメール。これをもらって「きっついな」と思いましたが、なんとか彼女の懐に入った気がしました。彼女は家族の中でよい子、良いお姉さんを演じてきて、こんな形で手放しで甘えることは出来なかったのではないかと思ったのです。あとは本気になって彼女に寄り添っていくことが必要なんだろうなと思います。

うつ病をはじめ病人の家族や周囲の人間は大変だなと思いますが、そのことをどう受け入れて、どう寄り添っていくか、今問われている気がします。それを考えるのもまた将来の患者さんやその家族との付き合いのなかで役に立っていくのではないかと思っているのですが、さてどうでしょう。

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