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2005/03/31

白木蓮の咲く頃

今年は昨年に比べると、桜もそうですが他の花も咲くのが遅いですね。先週金曜日に病院の精神神経科へ行った時、病院前の白木蓮並木の花が三分咲きくらいなのを見て、「あー、この季節になったか」と感慨ひとしおでした。

自分は単科の病院と、この大学病院の2つに入院したことがあるのですが、同じ精神科で入院とはいえ雲泥の差がありました。うつが治らないまま福岡へ行って2ヶ月で倒れてしまった時は、地元の単科の病院に入院しました。開放病棟で任意入院でしたが、強烈な体験でした。売店へ物を買いに行く為には閉鎖病棟を通り抜けなければならず、その異様さに気が休まりませんでした。院内で急に固まって動けなくなったり倒れたりしても、看護師は誰も助けてくれません。もちろん助ける必要がないのを承知だからでしょうが、やっぱりしんどい時にはひとこと声ぐらいかけてくれても良いのでは?と思ったりもしました。主治医と話す機会もなかなかありませんでした。

大学病院は基本的に長期は入院できません。自分の入院した病院は個室も含めてベット数が33しかありませんでした。タイミングによっては入院が決まっても、実際に入院できるまで時間がかかることもあるようでした。総合病院ですから精神科病棟と他の病棟との間には扉があって、その前にナースステーションがあり、院内散歩に出てもいい患者と出せない患者とをそこで確認して対処するシステムでした。毎晩当直医が回診にきますし、主治医の先生も3日に1回くらいは様子を見にきてくれて安心感がありました。院内散歩中に固まったりすると、すぐその場にいる看護師さんが車椅子にのせて病棟まで連れて行ってくれました。もっとも受け持ち看護師さんには「自分で戻ってこれるようにならないとね」とは言われましたけど。

院内散歩の時に玄関先へ出ると、その白木蓮の木があるのです。つぼみだった花が満開になって、散り始めるまでそこにいました。

同室の患者さんには、5階から飛び降りて奇跡的に助かったなんていう方もいて、その方は病室以外はストレッチャーで運ばれる時の天井しか見ていないのですよね。とても明るい方で奥さんも子どもさんもいて、どうしてこの人が飛び降り?と思うのですが、ご本人いわく「ぷちっとスイッチが入ってやっちゃうんだ」とのことで未遂2回目なんだとか。肋骨は幸い折らなかったものの、腕も足も骨折して全然動けないのです。自分が玄関先で白木蓮を見ながら「○さんは見られないんだよな」と思ったりしました。自分が退院したあと白木蓮の下に植えられたつつじが満開になったのですが「○さんつつじは見られると良いな」と思ったりしましたっけ。

病室はカーテンで仕切られていましたが、つけられたのがつい数週間前と聞いてびっくり。普通はないんだそうです。「夜回り先生」を読んでくださった方なら覚えておられるでしょうか、シーツを引き裂いてひもにしてカーテンレールに首をつってしまった女の子のエピソードがありました。そういうことがないように、プラスチックのビスで留められていて、水にぬれたタオルでもひっかけようならカーテンレールが全部落ちるようになっているんだとか。

他の入院患者さんたちといろいろ話をして、ほんと、いろいろな人生があるものだなと思わされました。他の病院に入院体験のある方もいて、よその病院の様子も聞いたり、「○○の薬は全然効かないよな」とか言い合ったりしました。決していい思い出にしてはいけないのでしょうが、その入院経験のなかで前の病院の患者さんのことも客観的に見られるようになり、自分でも助けになることが結構あるなと思ったのが、今、精神科のワーカーになろうと思ったきっかけでした。

多分大変な仕事だと思います。人間関係(家族も含めて)やらお金の問題やら仕事のことやら、いろいろな問題に出くわすでしょうね。治すのは患者自身にしか出来ないこと。でもその脇について「大丈夫ですよ」と声をかけながら一緒に歩けるようなワーカーになろうと思っています。だから調子のいいときは少しがんばらないとね。

4月1日追記:この記事をエキブロ・メディカルに投稿します。エキブロメディカルについてもいつかご紹介します。

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