生きることを望まれない子どもたち
ショッキングなタイトルでものを書きます。願わくはこういうことがなければ良いのですが・・・。
虐待としつけ|ACで死別シングルママの鬱・PD克服記
を読んで、最近読んだ「希望格差社会」の本の内容が頭に浮かびました。
家族の二極化が進んでいると言う話の中の一節です。この本は現代の経済の形が1998年ごろから変わってきたと述べ、その結果として高い給料で正社員として囲われ企画・経営などに携わる労働者と単純作業に派遣や請負、パート・アルバイトのような取替えの効く人材として携わる労働者の二極化が進んでいると指摘します。その結果家族というものが(極論すると)高収入を得られる者同士が結婚し、あるいは経済基盤の不安定な者同士が結婚するというパターンに分かれつつあると述べています。その結果急速に増えているのが、20代前半までにできちゃっった婚で結婚した夫婦で、この割合が増えるのと児童虐待相談処理件数の増えるのが時期を同じくすると言うのです。
20代前半までの年齢層は、生活基盤が整わないにもかかわらずレジャーへの関心が高いことを述べています。そうなると子どもは生活を脅かす存在であるばかりでなく、子どもそのものが生活を送るときの邪魔者になる傾向があるということです。極端な例だと信じたいところですが、中高生が親に虐待を受けているといって自ら児童養護施設に駆け込むなどと言うことすらおきているそうです。
自分のような人間は、確かに親のせいでAC(アダルトチルドレン)になりましたが、虐待されたわけではないです。親が未熟な為に過剰な負荷をかけられたり、ペットに対するようなゆがんだ愛情を注がれたりして心がゆがんでしまったわけです。
ところが虐待を受ける子どもたちは、しつけと言う名目で虐待されているというより積極的な虐待を対外的にしつけと言う言葉でくるもうとしている親に育てられていると言う感じがします。「夜回り先生」のなかのエピソードに「背中のない子ども」というのがあります。なんとタバコの吸殻を背中に焼印のようにいくつもいくつも押し付けられ、その傷跡のせいでプールに入れない子どもの話です。中学までは、プールのあるときは学校をサボればよかったけれど高校になって、プールに入らないと単位が取れなくて留年してしまうという子にたいして「夜回り(水谷)先生」が策を講じて救ってあげるという話です。こんな積極的な虐待をうけても子どもは親をかばおうとするのですね。CAPプログラムを日本の学校でも本格的に取り入れるべきなのでは、と痛感します。(CAPプログラムについては今月中にコメントすることを目標にしています)
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コメント
こんばんは。
TBありがとうございます。
自らの刹那的快楽のために子どもが邪魔になる未成熟な親を憂いていた文章をわたしもどこかで目にして暗澹たるきもちになったことを思い出しました。いろんな視点から基本的に考えないと改善していかない大きな課題だと思います。わたしたち大人が個人ででもできることは何だろう。。せめて考えることでもしなければ。。CAPもひとつの有効な手段ですよね。
投稿: plain | 2005/03/15 18:45
plainさん、コメントありがとうございます。
所得や社会階層の二極化は先進国と言われる国全部で総じて起きている問題だと言われています。アメリカでCAPが提起されたのもこうした問題を社会的なものと捉えて対策を講じた賜物なのではないかと思ったりしています。親とは隔離された学校のなかで自分の身を守る術を身に付けることはこれから日本でも必要不可欠になるのではと思います。ただ学校関係者にそういう問題意識がどれだけ共有されているかが分からないところですね。
投稿: なんちゃん | 2005/03/16 01:30