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2005/02/25

演劇に魅せられて2

高校は男子校でした。中学校にあった学校案内では「あらゆる部活動があるのが特徴かもしれない」とふざけたようなことが書いてありましたが(他の学校は野球部が○○大会に出場したとか、そういう記載が多かったのですが)確かに相撲部などは3回勝てば県大会優勝など、ユニークな部活動が多かったです。

自分は当初新聞部に入ろうと思っていました。実は中学校時代日刊の学級新聞(壁新聞)を編集していました。記録に残したり物を書いたりするのが得意で、新聞も概ね好評でした。もっとも日刊で出すには学級の役割分担で決めた班のみなの協力が不可欠で、1日おきに男子・女子が制作担当と言う形にしていたのですが、女子チームも自分の要求水準に良く応えてくれていました。文化祭のときはクラスのテーマが公害ということで、張り切って川崎の臨海部にあるコンビナートへ取材に行ったりしました。自分が中学に上がる頃はもう川崎の公害と言うのは随分と改善されていて、ぜんそくの患者さんも増えてはいませんでしたが、まあそういうことも知りませんでしたので、いろいろと発見があって楽しかったです。

ところが自分の行った高校の新聞部は大変伝統がありまして敷居の高いところでした。自分が自由に取材して自分の興味にしたがって記事に書くということは出来ないようでした。今ブログでこうやって自分の書きたいことを書きたいように書いているのは、まったく水を得た魚のようなものです。ま、そういうわけで新聞部に入るのはためらわれました。

そんな時、校門近くで朝礼台にあがって落語を演じている人がいました。着物をきてさかんに演じているのは他にはないユニークさでした。このときのことを自分はあまり覚えていないのですが、入学式についてきた自分の親は良く覚えていました。「まさかあの人と縁が出来るとは思わなかった」と親は言っていました。そう、自分は落語をやることに決めたのです。

もっともすんなり決めたわけではありませんでした。まだ友達もできたてのクラスで「落研に興味がある」というと、「あそこは3年生しかいないらしいから必死だよ。大変なんじゃない?」と言う人もいたりして、ずいぶん迷いました。しかし意を決して入部を頼みにいくと、ほかのクラスの1年生も2人来ていました。「自分ひとりではない」と言うことがわかってだいぶ気も楽になりました。部には確かに3年生2人しかいませんでした。そのうちの一人が唐元気氏で、後に電気曲馬団の主宰となる人でした。そして部の顧問の先生の一人は、後に学校を辞めて作家になり現在ではすっかり売れっ子になってしまった北村薫氏でした。北村氏が実は当時の落研の顧問だった古文の先生その人であることを知ったのは随分たってからのことでした。氏の作品によく落語が出てくるのはもともと部活の顧問になる程お好きだったからのようです。もっとも氏から指導を受けることはありませんで、3年生の2人を中心に、またOBの皆さんも良く来て指導してくださいました。

最初の舞台は文化祭でした。自分の学校は進学校だったこともあり、共通一次試験が導入されてから、秋にやっていた文化祭を前倒して6月に行っていました。ですから入学してすぐに初舞台と言うことになったわけです。発声練習をしたり(これが後々仕事で役立ちます。タイムサービスなどの際、店の誰よりも大きな声で売り出しの呼び声を出すことが出来ました)古典落語の本を読んで、自分が演ずる噺を決めたり、稽古をつけてもらったりと大変だった記憶があります。自分は「金明竹」と言う噺をすることになりました。

たった2人だけの3年生は実に対極的な味の持ち主でした。一人は古典の型をきっちりと詰める方で、もう一人(唐元気氏)は基本形を押さえつつ現代ねたを盛り込んだりして笑いを取る方でした。自分はどちらかというと唐氏に稽古をつけてもらうことが多く、次第に唐氏の影響を受けていくことになります。

文化祭当日です。割り当てられた教室に机を使って舞台を作り、いすを並べてお客を呼びます。男子校と言うこともあって、女子高生のお客さんがとても多いのが特徴です。この年頃の女性は本当に良く笑ってくれます。俗に「○○(なにでしたっけ)が落ちても可笑しい」といわれるように、ちょっとした笑いの仕掛け(くすぐりと言います)に良く反応して笑ってくれました。とはいえ落語は原則的にひとり舞台です。もし噺を途中で忘れたりしても誰も助けてくれません。自分で何とか場をつながなければなりません。そこを何とかやり過ごすことができるようになるとだいぶ自信もついてきたものでした。

こうして高校時代を通じて自分は唐氏の影響を受けていくことになります。この先もっともっと面白いことになっていきます。

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