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2005/01/26

郵政民営化の本来の目的

国会が始まりました。郵政民営化をめぐっての論戦もあるでしょうが、自民も民主も党内に反対派を抱えているので政党間対立の軸にならない不思議な論議だと思います。

「鳩ヶ谷雑記」の随分前の記事で、郵政民営化に関しては後日書くと宣言していました。今日書こうと思います。

民営化すればサービスが良くなるなどと閣僚が発言しているのを聞くと、有権者を馬鹿にしているなと思わずにいられません。郵政民営化と言うのは国鉄や電電公社の民営化と根本的に違うところがあります。郵便・貯金・簡保と分けて考えたとき、郵便は現業なので民営化になじみます。守秘義務を伴うところがありますから、職員はNTTと同じように必要に応じてみなし公務員とすべきだと思いますが、グローバルサービスに打って出るのも結構だと思います。ただその前にオーストラリアからのエアメールより高い国内信書便の値下げが先だと思いますが。5500億の債務超過をただ税金で埋めるのも納得行きませんが。ま、それはそれとしましょう。

問題は貯金・保険です。銀行など民間の金融機関に回ったお金は、基本的には民間に投資され経済活動に資することになります。しかし郵貯・簡保に回ったお金は官業に回ってしまいます。郵貯の運用は国債に43.5%、地方債に4.2%、財務省が行う財政投融資への預託金が43%というポートフォリオ(運用の組み立て)。資産の9割が国の借金に充てられているのです。(日本郵政公社ホームページ「資金運用状況」2004年7月より仁科剛平氏が作成。「郵貯崩壊」祥伝社より)なぜ郵貯や簡保が利益を出せるかと言うと、国債における表面上の利ざやと財政投融資への預託金利息があるからです。

ところでこの財政投融資というのは日本道路公団や住宅金融公庫など財投機関と言うところに貸し出されていたのですが住宅金融公庫は焦付き債権がかさんでとうとう税金で補填され廃止の方向で進んでいます。そう。つまり預託金利息と言うのは結局税金から出ているのです。税金で黒字を出しているのが郵貯・簡保です。それを民営化するというのはどういうことでしょう。

本来の郵政民営化の目的は官営企業や国債に流れるお金を民間企業に回して経済を活性化させることでした。ところが国債の発行残高も大きくそのなかで郵貯・簡保が持っている割合も高い為、本来の目的はすでに達成することが困難になりました。郵貯・簡保が国債を売れば、即座に金利が上がって(国債の値段は下がる)借金大国日本の財政はエンドレスに赤字が増え続けることになるでしょう。利払いの為さらに借金を重ねるとすればまさにサラ金等をつまみつくした多重債務者とそっくりの光景。

だから、今民営化を急ぐのはほかに理由があるということ。政府保証をはずして計画的に倒産させるとかそういった類のことが考えられているのではないでしょうか。

だから自分は郵政民営化には反対です。今になって民営化なんておかしいです。現業(郵便)ではなく金融(郵貯・簡保)が絡む限りけっしてJRやNTTのようになることはないです。過疎地の郵便局がどうのこうのなんて議論の本筋ではありません。問題の本筋は郵貯・簡保のお金が本当に税金を使わずに国民に返せるかどうかです。与野党ともこんな大事な議論をしないなんておかしいではないですか。議論をしたらやばいことになるからではと疑心暗鬼になっても仕方のないことだと思います。

個人が借金をしようと国が借金をしようと、返さなくてはならないのがあたりまえ。個人はともかく責任ある企業や国がちょろまかそうとするのには厳しい姿勢で臨まなくてはなりません。

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