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2004/12/31

売り場は大変

吉井怜オフィシャルココログ: 街は、すっかり・・・・・

おおみそかになりました。この日は自分が小売店に勤めていた時代、1年で最も忙しい日でした。

紳士衣料の12月の大きな流れを解説してみます。まず12月初旬のボーナスサンデーまでは、メインはコートです。カジュアル・ビジネス問わず売れます。単価も上がるので絶対落とせないシーズンです。我々の店では什器が可動式になっていなかったので難しかったのですが、イトーヨーカドーでは毎年普段のセーター売り場とコート売り場を入れ替えて出すくらいの重点商品です。

中旬からはクリスマス需要でデザイン物のセーターがメインになります。普段は扱わないような一枚1万円以上の豪華なデザインセーターをはじめ、マフラーとセーターの箱入りセットなども若干用意しつつギフトのイメージを前面に押し出して展開します。売り場でラッピングをしたりもします。

クリスマスが終わると今までのディスプレーを総入れ替えします。それまでクリスマスカラーの白・緑・赤のセーターで構成していたディスプレイを明るい春色のトレーナーやフリースジャケットにします。売り場全面も裏起毛のトレーナーなどカジュアル色をだして棚の上はなるべく明るい春カラーにします。この時期の、冬物だけれど色は春色の商品を梅春物といいます。ここから歳末まではカジュアルの実需品のシーズンで、セーターもカジュアルブルゾン・コートも値ごろの物が大量に売れます。自分の店では本来の売り場とは別に食品売り場の近くの小さい催事場でスウェットスーツとフリースジャケットの1000円・1900円など均一セールをして、普段10万円ぐらいしか売れないところで30万円以上の売り上げを取ります。ですから毎日お客さんのいる間は販売に徹し、すいてくるとみんなでどんどん品出しをして補充し、それがまた翌日は売れると言う具合でへろへろになります。

そしておおみそか。一番お客さんの入る日で日中は販売で必死。すいてきたら催事コーナーをを撤去し徐々に商品を動かして売り場の一番前を空けて、閉店間際に福袋の品だし。ワゴンなどは紅白の幕で囲ったりします。テープに吹き込んである音楽もお正月の曲にチェンジ。

以前は元日は休みでしたが、今は平常営業。へろへろのままほとんどテレビも見ずに寝て、翌日朝から出勤。3がにちはパートさんがほとんど休んでしまうので、少ない戦力で戦います(ほんと、売るじゃなくて戦うって言う感じになる)。群馬の前橋方面や東北の仙台などでは、福袋は縁起物として中身を見ずにいくつも買っていくお客さんが多いのですが東京周辺ではそういうのが無いので、自分は福袋の中身を見せて納得づくで買ってもらっていました。

福袋を2日までにほぼ片付け、今度は冬物バーゲンセールの準備。売り場の半分以上を半額~3割引に値段を下げ、値札を付け替えて、SALEの幕を什器にはりつけ一気に処分セールに突入です。今年はカシミアセーターが沢山残っているのでこれが半額セールのメインでは、と予想しています。

このほかに大変な売り場はおもちゃ。クリスマスまでにはオーナメント関係を売りつくさないと来年まで持ち越しと言う恐怖の展開になります。そしてお正月の演出にして、元日からは福袋のほかに福引。これの準備がまた大変。

あとは日配品(デイリー)。12月26か27の夜、漬物や納豆などを大幅に縮小しておせち関係の商品を一気に出します。食品は他にも短期間で売り場を伸ばしたり縮めたりがおおくてホント大変だと思います。

まあ、こんな感じでへろへろの3乗くらいになって人々が無事に仕事始めをする頃からようやく大きなため息とともに「終わったー、お正月だ」という気分で、繁忙期までに年賀状を出せなかったヒトはその頃からやっと書き始めたりとか、いろいろですね。

お読みになっている方もお買い物に出られると思いますが、売り場のこんな裏事情を知っていると、「うわー、大変!」とか思うかもしれませんね。

今年は心配したとおり月初めに夏日があったりした影響で冬物が衣料も住生活も極端にうれず、昔の同僚によると「予定の売り上げと実売がかけ離れていやになる」そうです。一部の大手デパートで福袋を年内から売り出しているのも、少しでも取り返そうと言う小売店の必死さがにじみ出ている気がします。

では、良いお年をお迎えください。

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