風邪のようなもの
「うつ」を治す(PHP新書111)
という本はアマゾンの利用客の中では、お勧めする人が多いです。マイリストによくくみこまれています。この本の優れているのは、症状や治療法に関して網羅しつつ、新書と言う性質上あまり難しくないことでしょうか。
この本では、よく言われる「うつ病は心の風邪のようなもの」という言葉はあたっている部分と誤解を生む部分があると述べられています。誰でもかかる可能性があるという点で風邪のようなものともいえるかもしれないが、短期で治ると考えるのは誤りであるとのこと。確かにちまたにあふれる本の中には、薬さえきちんと飲めば3ヶ月から6ヶ月くらいで治ると書いてある物もあります。むしろ自分の知人で1年以内に治った人のほうが少ない。本の中ではアメリカのある調査の結果を挙げて、うつ病にかかった人の6割が1年後も何らかの抑うつ状態にあったと記載しています。
またうつ病は再発しやすい病気であるという点でも風邪に似ているかもしれないと述べられています。じつはこのうつ病の再発についてあまり詳しく書いてある本はありません。多くの本の趣旨が「うつ病にかかっても治るから大丈夫」と言うプラスのメッセージを発したいが為なのかなと思うのですが、自分が参加したことのある自助グループの講演会でも「再発しやすい」ということが言われていました。本の中でもある調査の結果が報告されていますが、びっくりするほどの高率です。しかも再発を繰り返すほどさらに再発しやすくなるため、再発を防ぐ為にも治ってから最低1年間は薬を続けることが重要だと述べられています。
詳しくはお手にとってごらん頂くとして、これだけうつ病と言うものが広く知られてきていながら、正しい知識と言う点ではあまり啓蒙が進んでいないなあと感じました。
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